セルセイバー回収血輸血後に異常高血圧を呈した症例
セルセイバーは自己血輸血のために汎用されているが, 今回我々はセルセイバー回収血を輸血直後に異常な高血圧を呈した2症例を経験したので報告する. 症例1;48歳, 女性. 腰椎すべり症の診断にて後側方固定術が施行された. 合併症として高血圧があった. 麻酔は亜酸化窒素酸素セボフルランに適宜フェンタニールを投与して維持した. 症例2;14歳, 女性. 特発性側弯症の診断にて後方矯正固定術が施行された. 麻酔はNLA変法+亜酸化窒素, 酸素, イソフルランにて維持した. 両症例の術中に, セルセイバー回収血の輸血で異常高血圧を呈した. 輸血を直ちに中止し, 血圧, 心拍数は投与前値に速やかに戻った....
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Published in | 蘇生 Vol. 20; no. 3; p. 278 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
12.09.2001
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | セルセイバーは自己血輸血のために汎用されているが, 今回我々はセルセイバー回収血を輸血直後に異常な高血圧を呈した2症例を経験したので報告する. 症例1;48歳, 女性. 腰椎すべり症の診断にて後側方固定術が施行された. 合併症として高血圧があった. 麻酔は亜酸化窒素酸素セボフルランに適宜フェンタニールを投与して維持した. 症例2;14歳, 女性. 特発性側弯症の診断にて後方矯正固定術が施行された. 麻酔はNLA変法+亜酸化窒素, 酸素, イソフルランにて維持した. 両症例の術中に, セルセイバー回収血の輸血で異常高血圧を呈した. 輸血を直ちに中止し, 血圧, 心拍数は投与前値に速やかに戻った. 回収血へのエピネフリンの混入を疑いエピネフリン濃度を測定した. 回収血のエピネフリン濃度は症例1;2,073,644pg/ml, 症例2;339,314pg/ml(正覚値;100pg/ml以下)と高値を示していた. 輸血された回収血が少量であり, 循環動態の変動も数分で収まり, 術後に問題は認められなかった. 考察;セルセイバー回収血は生理食塩水にて洗浄後使用されるのが通常の手順であるが, この洗浄操作が正しく行われず, 術野から吸引されたエピネフリンが除去されなかったものと考えられた. その原因として症例1では, 吸引した血液量が有効な処理量に満たなかった為, 自動処理が中断され, 洗浄過程が省略されたことが考えられる. 症例2では, 吸引した血液量は処理可能な量に達しており自動処理されたが, セルセイバーの自動処理における洗浄過程が十分でなかったか, またはその処理能力を超える量のエピネフリンが術中使用されていたことが示唆された. 結語;セルセーバー回収血の洗浄には充分の配慮が必要であり, 術中止血目的で使用するエピネフリンの量には注意する必要がある. |
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ISSN: | 0288-4348 |