ラミブジン抵抗性B型肝炎ウイルスの出現後に劇症化したB型慢性肝炎の1例

症例は44歳, 男性. HBe抗原陽性無症候性HBVキャリアとして当科通院中に肝炎を急性発症した. 肝機能が徐々に増悪し重症化したためラミブジンの投与を開始した. その後ウイルス量は速やかに減少し肝機能も改善したが, ラミブジンの投与は継続した. 投与開始9カ月後ウイルス量が再上昇したためウイルスの塩基配列を決定したところ, YMDD motifに変異がみられた. 投与開始14カ月後に全身倦怠感が出現し肝機能の増悪が認められたため当科に入院した. SNMC, インターフェロン, ステロイドパルス療法を行ったが, 入院後22日目に脳症が出現した. さらに, 血漿交換, 血液濾過透析を連日行ったが...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 41; no. 9; pp. 660 - 664
Main Authors 江口, 勝美, 宮副, 誠司, 岩永, 洋, 加治屋, 勇二, 大久保, 和昭, 加藤, 有史, 浜崎, 圭輔, 中田, 恵輔, 中尾, 一彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 25.09.2000
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.41.660

Cover

More Information
Summary:症例は44歳, 男性. HBe抗原陽性無症候性HBVキャリアとして当科通院中に肝炎を急性発症した. 肝機能が徐々に増悪し重症化したためラミブジンの投与を開始した. その後ウイルス量は速やかに減少し肝機能も改善したが, ラミブジンの投与は継続した. 投与開始9カ月後ウイルス量が再上昇したためウイルスの塩基配列を決定したところ, YMDD motifに変異がみられた. 投与開始14カ月後に全身倦怠感が出現し肝機能の増悪が認められたため当科に入院した. SNMC, インターフェロン, ステロイドパルス療法を行ったが, 入院後22日目に脳症が出現した. さらに, 血漿交換, 血液濾過透析を連日行ったが入院後33日目に死亡した. B型慢性肝炎に対するラミブジンの投与は, 本例のような変異株の出現に関連した劇症化を考慮し対象および投与期間を十分に検討した上で慎重に投与すべきであると思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.41.660