リウマチ因子が異常高値を呈し, single radial immunodiffusion法によるIgMの測定が, 血漿交換療法の指標に有効であったマクログロブリン血症の1例

今回, 我々は, 化学療法と血漿交換療法の併用により寛解し得た, クリオグロブリン活性を伴う原発性マクログロブリン血症の1例を経験した. 症例は57歳, 男性. めまいとレイノー現象で発症し, 間歇性跛行が出現した. 精査の結果, クリオグロブリン活性を伴う原発性マクログロブリン血症と診断した. 高度な過粘稠度症候群も認められたためmelphalanとprednisoloneによる化学療法と, 血漿交換療法を併用したところ, 血清IgMの検査値は低下し, それに伴って臨床症状の著明な改善を認めた. しかし, 本症例のM-proteinであるIgMは, 著明高値のRF活性を有していたため, 一般...

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Published in日本透析療法学会雑誌 Vol. 26; no. 8; pp. 1441 - 1446
Main Authors 池田, 修二, 平川, 秀三, 杉本, 光, 西, 喜廣, 和田, 淳, 長宅, 芳男, 槇野, 博史, 小倉, 俊郎, 太田, 善介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本透析医学会 28.08.1993
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ISSN0911-5889
1884-6211
DOI10.4009/jsdt1985.26.1441

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Summary:今回, 我々は, 化学療法と血漿交換療法の併用により寛解し得た, クリオグロブリン活性を伴う原発性マクログロブリン血症の1例を経験した. 症例は57歳, 男性. めまいとレイノー現象で発症し, 間歇性跛行が出現した. 精査の結果, クリオグロブリン活性を伴う原発性マクログロブリン血症と診断した. 高度な過粘稠度症候群も認められたためmelphalanとprednisoloneによる化学療法と, 血漿交換療法を併用したところ, 血清IgMの検査値は低下し, それに伴って臨床症状の著明な改善を認めた. しかし, 本症例のM-proteinであるIgMは, 著明高値のRF活性を有していたため, 一般的な蛋白定量法であるlaser nephelometry (LN) 法では, 正確な検査値が得られなかった. そのため, 血漿交換療法の有効性の評価に苦慮したが, single radial immunodiffusion (SRID) 法による蛋白定量を施行したところ, ほぼ正確な検査値が得られ, 血漿交換療法の有効性をほぼ良好に評価し得た. 本症例のような, 著明高値のRF活性を有するマクログロブリン血症では, SRID法によるIgMの測定が, 血液粘稠度の測定と同様に, 血漿交換療法の有効性の評価に必要であると考えられた.
ISSN:0911-5889
1884-6211
DOI:10.4009/jsdt1985.26.1441