Micro Typing Systemゲル遠心法の自動機器の検討

【目的】Micro Typing Systemゲル遠心法(MTS, オリンパス社, 以下ゲル法)は, 検査検体の微量化及び, 判定の客観性・感度において試験管法より優れていることが報告されている. 今回このゲル法を用いて, 検体および試薬を自動分注するID-Sampler III Mとゲルカードを遠心・自動判定するID-Reader SAがオリンパス社から発売され, これらを検討したので報告する. 【方法】ID-Sampler III Mを用いたMTSゲル遠心法は, 指示書通りの血球濃度と血清量を用いた方法(G-1法)と検出感度を上げるために血球量と血清量の比率を変えた変法(G-2法)を用い,...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 260
Main Authors 名倉豊, 堀江登志子, 奥山マチ子, 曽根伸治, 早川雅之, 岡野智子, 柴田洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1999
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ISSN0546-1448

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Abstract 【目的】Micro Typing Systemゲル遠心法(MTS, オリンパス社, 以下ゲル法)は, 検査検体の微量化及び, 判定の客観性・感度において試験管法より優れていることが報告されている. 今回このゲル法を用いて, 検体および試薬を自動分注するID-Sampler III Mとゲルカードを遠心・自動判定するID-Reader SAがオリンパス社から発売され, これらを検討したので報告する. 【方法】ID-Sampler III Mを用いたMTSゲル遠心法は, 指示書通りの血球濃度と血清量を用いた方法(G-1法)と検出感度を上げるために血球量と血清量の比率を変えた変法(G-2法)を用い, 判定はID-Reader SAの自動判定と目視で行った. 対照法としては日常検査に用いる試験管法(T法)を行った. 1)再現性:抗血清を希釈した試料を用い, G-1法, G-2法とT法の再現性を比較した. 2)日常検査法との比較:ABO型うら試験と不規則抗体検査は, 患者検体127例を用いた. 不規則抗体検査のT法はクームス法と酵素2段法, G-1法はAHG法と酵素2段法でのそれぞれ2法でおこない比較した. 交差適合試験は判定が陽性になる組み合わせ94例と陰性になる組み合わせ47例でG-1法, G-2法とT法の3法を比較した. 【結果】1)再現性:各試料とも10本ずつ行った結果, G-1法およびG-2法のAHG法は, T法のクームス法にくらべ再現性に優れていたが, G-1法およびG-2法の酵素2段法はT法の酵素2段法とほぼ同等の結果だった. 2)日常検査法との比較:127例のABO型うら試験と不規則抗体検査のG-1法とT法の一致率は100%であった. 不規則抗体検査はG-1法とT法ともに陰性は125例であった. 両法とも陽性は2例あった. 陽性の2検体についてT法, G-1法, G-2法の同定検査をおこなった結果, 1検体はT法, G-2法で抗Le^a 抗体と同定され, G-1法では抗Le^a 抗体とは判定しがたかった. もう1検体はT法, G-1法で抗M抗体と同定され, G-2法では抗M抗体とは判定しがたかった. 交差適合試験は判定が陽性になる94例中92例は3法すべてが陽性, 残り2例はG-2法のみ陽性となった. 判定が陰性になる47例は3法とも陰性であった. 【結論】T法とG-1法は, ほぼ同等の結果であったため, これらの機器を用い輸血検査の自動化が可能であると考えられた. 一方, G-2法はT法, G-1法に比べ必ずしも感度がよくなるわけではなかった. 【考察】この機器は検体ラベルのバーコードの読みとりができ, ホストシステムとのオーダー情報や検査結果のオンライン化が可能で, さらに過誤を少なくした省力化が期待できる.
AbstractList 【目的】Micro Typing Systemゲル遠心法(MTS, オリンパス社, 以下ゲル法)は, 検査検体の微量化及び, 判定の客観性・感度において試験管法より優れていることが報告されている. 今回このゲル法を用いて, 検体および試薬を自動分注するID-Sampler III Mとゲルカードを遠心・自動判定するID-Reader SAがオリンパス社から発売され, これらを検討したので報告する. 【方法】ID-Sampler III Mを用いたMTSゲル遠心法は, 指示書通りの血球濃度と血清量を用いた方法(G-1法)と検出感度を上げるために血球量と血清量の比率を変えた変法(G-2法)を用い, 判定はID-Reader SAの自動判定と目視で行った. 対照法としては日常検査に用いる試験管法(T法)を行った. 1)再現性:抗血清を希釈した試料を用い, G-1法, G-2法とT法の再現性を比較した. 2)日常検査法との比較:ABO型うら試験と不規則抗体検査は, 患者検体127例を用いた. 不規則抗体検査のT法はクームス法と酵素2段法, G-1法はAHG法と酵素2段法でのそれぞれ2法でおこない比較した. 交差適合試験は判定が陽性になる組み合わせ94例と陰性になる組み合わせ47例でG-1法, G-2法とT法の3法を比較した. 【結果】1)再現性:各試料とも10本ずつ行った結果, G-1法およびG-2法のAHG法は, T法のクームス法にくらべ再現性に優れていたが, G-1法およびG-2法の酵素2段法はT法の酵素2段法とほぼ同等の結果だった. 2)日常検査法との比較:127例のABO型うら試験と不規則抗体検査のG-1法とT法の一致率は100%であった. 不規則抗体検査はG-1法とT法ともに陰性は125例であった. 両法とも陽性は2例あった. 陽性の2検体についてT法, G-1法, G-2法の同定検査をおこなった結果, 1検体はT法, G-2法で抗Le^a 抗体と同定され, G-1法では抗Le^a 抗体とは判定しがたかった. もう1検体はT法, G-1法で抗M抗体と同定され, G-2法では抗M抗体とは判定しがたかった. 交差適合試験は判定が陽性になる94例中92例は3法すべてが陽性, 残り2例はG-2法のみ陽性となった. 判定が陰性になる47例は3法とも陰性であった. 【結論】T法とG-1法は, ほぼ同等の結果であったため, これらの機器を用い輸血検査の自動化が可能であると考えられた. 一方, G-2法はT法, G-1法に比べ必ずしも感度がよくなるわけではなかった. 【考察】この機器は検体ラベルのバーコードの読みとりができ, ホストシステムとのオーダー情報や検査結果のオンライン化が可能で, さらに過誤を少なくした省力化が期待できる.
Author 堀江登志子
柴田洋一
岡野智子
名倉豊
早川雅之
曽根伸治
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