Is Screening Program for Detection of Methicillin-resistant Staphylococcus aureus from Patients and Hospital Personnel Necessary?

職員および患者のMRSA保菌調査の有効性と妥当性を明らかにするために, 1993年から1996年の間, 当院および関連病院の患者・職員の保菌状態について経時的に調査, 検討した. 職員の鼻腔保菌陽性率は概ね約3~5%であったが, 保菌調査回数が1回では一過性保菌と持続保菌を区別することができず, 判定のためには複数回の調査が必要であった.職員の多くは一過性保菌者であり, 保菌調査はMRSAの蔓延度の指標, 職員の啓蒙のためという意味合いが強く, 実施するならば複数回実施すべきと思われた. むしろ全員が常に一過性保菌者になりうることを自覚し, 交差感染を予防する基本的手技を心がけることが大切であ...

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Published inEnvironmental Infections Vol. 12; no. 2; pp. 134 - 139
Main Author FUSE Katsuya
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Japanese Society of Environmental Infections 1997
日本環境感染学会
Subjects
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ISSN0918-3337
1884-2429
DOI10.11550/jsei1986.12.134

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Summary:職員および患者のMRSA保菌調査の有効性と妥当性を明らかにするために, 1993年から1996年の間, 当院および関連病院の患者・職員の保菌状態について経時的に調査, 検討した. 職員の鼻腔保菌陽性率は概ね約3~5%であったが, 保菌調査回数が1回では一過性保菌と持続保菌を区別することができず, 判定のためには複数回の調査が必要であった.職員の多くは一過性保菌者であり, 保菌調査はMRSAの蔓延度の指標, 職員の啓蒙のためという意味合いが強く, 実施するならば複数回実施すべきと思われた. むしろ全員が常に一過性保菌者になりうることを自覚し, 交差感染を予防する基本的手技を心がけることが大切であると思われた.患者の鼻腔保菌率は, MRSA分離頻度に応じて病棟間のばらつきはあるが約8~10%で, 一律の検査は疫学的指標としての意味合い以上のものではない. 一方, 長期臥床例や基礎疾患を有する患者の鼻腔保菌者は疾や褥創などの他の臨床検体からの持続保菌・排菌者であることも多く, 長期間追跡すると最終的にMRSA感染症をきたす例もあった. このような患者群は院内感染菌のリザーバーとして, また将来の感染症発症者として適切なマーキング・除菌の対象となる例も多いため, スクリーニング検査の適応があると思われた. スクリーニング検査は一律ではなく, 適切な対象について行うことが, 対費用効果, ならびに対労働効果を高めるものと思われた.
ISSN:0918-3337
1884-2429
DOI:10.11550/jsei1986.12.134