三叉神経障害を呈したprimary Sjögren症候群6症例の臨床的検討

今回われわれは,三叉神経障害を呈したprimary Sjögren症候群(SJS)例の臨床像を検討したので報告する.当科SJS患者185例中6例(3.2%)に三叉神経障害を認めた.全例女性で,発症年齢は34~58歳であった.全例知覚のみの障害で,末梢性障害と考えられた. 1例で多発性脳神経障害を認めた以外に他の脳神経障害は認められなかった.脳神経以外の末梢性神経障害を呈したのは2例で, 1例に手根管症候群を認めたが,中枢性神経障害を呈した例はなかった.三叉神経障害で発症した症例は3例で, SJSの確定診断に長期間を要した.抗RNP抗体は4例に陽性で,そのうち3例にレイノー現象が認められ,レイノ...

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Published in日本臨床免疫学会会誌 Vol. 15; no. 2; pp. 168 - 176
Main Authors 渡部, 一郎, 藤咲, 淳, 佐川, 昭, 渥美, 達也, 浄土, 智, 向井, 正也, 中林, 透, 天崎, 吉晴, 中川, 昌一
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床免疫学会 30.04.1992
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ISSN0911-4300
1349-7413
DOI10.2177/jsci.15.168

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Summary:今回われわれは,三叉神経障害を呈したprimary Sjögren症候群(SJS)例の臨床像を検討したので報告する.当科SJS患者185例中6例(3.2%)に三叉神経障害を認めた.全例女性で,発症年齢は34~58歳であった.全例知覚のみの障害で,末梢性障害と考えられた. 1例で多発性脳神経障害を認めた以外に他の脳神経障害は認められなかった.脳神経以外の末梢性神経障害を呈したのは2例で, 1例に手根管症候群を認めたが,中枢性神経障害を呈した例はなかった.三叉神経障害で発症した症例は3例で, SJSの確定診断に長期間を要した.抗RNP抗体は4例に陽性で,そのうち3例にレイノー現象が認められ,レイノー現象と三叉神経障害の発現間隔は2ヵ月以内と近接していた. SJSにおける末梢性三叉神経障害の発症機序として,神経栄養血管炎や三叉神経節へのリンパ球浸潤による神経節細胞の障害などが考えられているが,本検討ではレイノー現象や抗RNP抗体も三叉神経障害の発症に関与する可能性が示された.
ISSN:0911-4300
1349-7413
DOI:10.2177/jsci.15.168