胸部大動脈瘤手術における抗血栓コーティング処理部分体外循環法の有用性

8例の真性胸部下行大動脈瘤、及びDeBakeyIIIb型解離性大動脈瘤(胸腹部大動脈瘤を含む)に対し、部分体外循環法による手術を行った。部分体外循環法として、ヘパリンコーティングを付した遠心ポンプ、膜型肺、大腿動静脈経皮的カニューラを用い、またチューブ内コーティングとしてBiomateを用いた抗血栓性材料による閉鎖回路とした。全身投与ヘパリンとしてActivated coagulation time (ACT)を200秒に維持した。全例軽快退院した。本補助循環法に起因すると考えられる血栓塞栓症や、術後臓器不全合併、肺出血も認めなかった。血中血小板、凝固線溶系の検索においても、その変動は軽微であ...

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Published in人工臓器 Vol. 24; no. 2; pp. 507 - 512
Main Authors 野中, 健史, 小石, 沢正, 藤木, 達雄, 渡辺, 寛, 相崎, 雅弘, 笹川, 成, 林, 信成, 井手, 博文, 小久保, 純, 本田, 克彦, 池田, 晃冶, 江上, 純, 須藤, 憲一, 戸成, 邦彦, 有村, 康夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 15.04.1995
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ISSN0300-0818
1883-6097
DOI10.11392/jsao1972.24.507

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Summary:8例の真性胸部下行大動脈瘤、及びDeBakeyIIIb型解離性大動脈瘤(胸腹部大動脈瘤を含む)に対し、部分体外循環法による手術を行った。部分体外循環法として、ヘパリンコーティングを付した遠心ポンプ、膜型肺、大腿動静脈経皮的カニューラを用い、またチューブ内コーティングとしてBiomateを用いた抗血栓性材料による閉鎖回路とした。全身投与ヘパリンとしてActivated coagulation time (ACT)を200秒に維持した。全例軽快退院した。本補助循環法に起因すると考えられる血栓塞栓症や、術後臓器不全合併、肺出血も認めなかった。血中血小板、凝固線溶系の検索においても、その変動は軽微であり24時間後にはほぼ術前値に復帰していた。以上より、抗血栓性を付加した本法は、臨床的に従来より指摘されてきた部分体外循環法における術後出血傾向を防ぎうる点で有用なシステムであると考えられた。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.24.507