ガンマグロブリン大量療法が奏効せず,血漿交換にて冠動脈変化の改善をみた川崎病の1女児例
川崎病は免疫系の異常な活性化と血管内皮細胞障害に始まる全身性血管炎を特徴とする疾患群である.冠動脈障害をはじめとする血管炎の発症にはサイトカイン,接着因子が関与していることが明らかになり,この成因因子を早期に鎮静化することが治療面でもっとも重要な点である.川崎病の治療としてガンマグロブリン大量療法が現在では確立されているが,本例では通常量のガンマグロブリン(400mg/kg)の3日間投与に続いて, 1g/kgの超大量療法を施行したが奏効しないため,血漿交換療法を施行した.第3病日にすでにみられた冠動脈変化が血漿交換療法の施行を境に進行が抑さえられたのみでなく,心機能,関節症状,腹部症状のいずれ...
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Published in | 日本臨床免疫学会会誌 Vol. 18; no. 3; pp. 282 - 288 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
30.06.1995
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ISSN | 0911-4300 1349-7413 |
DOI | 10.2177/jsci.18.282 |
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Summary: | 川崎病は免疫系の異常な活性化と血管内皮細胞障害に始まる全身性血管炎を特徴とする疾患群である.冠動脈障害をはじめとする血管炎の発症にはサイトカイン,接着因子が関与していることが明らかになり,この成因因子を早期に鎮静化することが治療面でもっとも重要な点である.川崎病の治療としてガンマグロブリン大量療法が現在では確立されているが,本例では通常量のガンマグロブリン(400mg/kg)の3日間投与に続いて, 1g/kgの超大量療法を施行したが奏効しないため,血漿交換療法を施行した.第3病日にすでにみられた冠動脈変化が血漿交換療法の施行を境に進行が抑さえられたのみでなく,心機能,関節症状,腹部症状のいずれも改善し,発症1カ月を経過した現在では冠動脈径は正常にもどっている.今後,ガンマグロブリン大量療法にても症状,検査値の改善がみられない川崎病症例には,可能なかぎり早期から血漿交換法を考慮すべきと思われる. |
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ISSN: | 0911-4300 1349-7413 |
DOI: | 10.2177/jsci.18.282 |