ベータ・ブロッカー (マレイン酸チモロール) の点眼により誘発されたと考えられる気管支喘息重積発作の一剖検例

症例は74歳, 男性, 1972年以来気管支喘息発作があり, アミノフィリン, 交感神経刺激剤, 副腎皮質ステロイド剤の投与を受けていた. 本年1月急性緑内障を併発, マレイン酸チモロール点眼液の投与後呼吸困難が急速に進行, 死亡した. 剖検では典型的な気管支喘息重積発作の所見を認めた. 本例はチモロールの点眼により喘息発作が誘発され, 死亡した可能性が極めて高く, チモロール点眼による死亡例としては本邦初例である. 高齢者ではチモロールなどβ遮断剤を主成分とする点眼剤を使用する場合, 気管支喘息の既往がないことを十分確認し, 投与後も経過を慎重に観察する必要があると思われる....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 28; no. 1; pp. 156 - 159
Main Authors 毛利, 昌史, 中浜, 昌夫, 谷口, 誠, 木野, 博至
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本呼吸器学会 25.01.1990
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0301-1542
1883-471X
DOI10.11389/jjrs1963.28.156

Cover

More Information
Summary:症例は74歳, 男性, 1972年以来気管支喘息発作があり, アミノフィリン, 交感神経刺激剤, 副腎皮質ステロイド剤の投与を受けていた. 本年1月急性緑内障を併発, マレイン酸チモロール点眼液の投与後呼吸困難が急速に進行, 死亡した. 剖検では典型的な気管支喘息重積発作の所見を認めた. 本例はチモロールの点眼により喘息発作が誘発され, 死亡した可能性が極めて高く, チモロール点眼による死亡例としては本邦初例である. 高齢者ではチモロールなどβ遮断剤を主成分とする点眼剤を使用する場合, 気管支喘息の既往がないことを十分確認し, 投与後も経過を慎重に観察する必要があると思われる.
ISSN:0301-1542
1883-471X
DOI:10.11389/jjrs1963.28.156