農業者における菊およびレタスによるアレルギー性接触性皮膚炎と有機塩素系農薬TPN (ダコニール) による皮膚炎

菊およびレタス栽培者に対し集団的なパッチテストを施行し, その原因を検索した. パッチ材料には, 菊, レタスの葉汁およびその抽出成分ならびに農薬ことに有機塩素系農薬のダコニールを用いたこの結果, 菊, レタスおよびその成分は, その刺激性も皆無ではないが, 大部分アレルギー機序により, 皮膚炎の原因をなすものと考えられた. 農薬, ことに, ダコニール (TPN) は, その強い刺激性および光線過敏毒性より, 農業者および非農者にも平均約60%のパッチ陽性反応を示すとともに, その常用の約5倍以下の濃度で, アレルギー機序の反応をおこすとの結果を得た. よって, 菊, レタス栽培者の皮膚炎原...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 34 - 38
Main Authors 大久保, 岩雄, 住友, 晴美, 武田, 美雄, 高石, 喜久, 居村, 剛, 市原, 照由, 岸本, 信子, 藤多, 哲朗, 坂東, 玲芳, 加藤, 和則, 林, 敬子, 松浦, 一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 30.05.1986
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.35.34

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Summary:菊およびレタス栽培者に対し集団的なパッチテストを施行し, その原因を検索した. パッチ材料には, 菊, レタスの葉汁およびその抽出成分ならびに農薬ことに有機塩素系農薬のダコニールを用いたこの結果, 菊, レタスおよびその成分は, その刺激性も皆無ではないが, 大部分アレルギー機序により, 皮膚炎の原因をなすものと考えられた. 農薬, ことに, ダコニール (TPN) は, その強い刺激性および光線過敏毒性より, 農業者および非農者にも平均約60%のパッチ陽性反応を示すとともに, その常用の約5倍以下の濃度で, アレルギー機序の反応をおこすとの結果を得た. よって, 菊, レタス栽培者の皮膚炎原因は, 単一でなく, 実地臨床上では, 栽培作物と農薬などの複合的要因がその原因をているものと思われる.
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.35.34