去勢牛の尿石症の外科治療、特に陰茎S状曲尿道縦切開術による尿道結石除去と開腹術を併用した坐骨直腸窩膀胱穿刺による膀胱結石除去について

平均体重190kgの去勢和牛4頭の尿石症の症例に対して、陰茎S状曲縦切開による結石除去後に開腹術を併用し、坐骨直腸窩から膀胱に套管針を刺入して膀胱洗浄を実施し、膀胱結石除去を試みた。すなわち陰茎S状曲縦切開術を実施し閉塞した結石を除去し、尿道カテーテルを留置した。このカテーテルの上端は膀胱頸部とし下端は包皮腔内とした。カテーテルが容易に膀胱内に達しない場合は坐骨部尿道切開によりカテーテルを膀胱に導いた。次に開腹術を併用して坐骨直腸窩膀胱瘻設置術を実施した。すなわち腹腔内に挿入した手で膀胱を固定し坐骨直腸窩から刺入した套管針で膀胱頸部を穿刺した。次ぎに套管針内針を抜き排尿終了後套管針から洗浄液を...

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Published in東北家畜臨床研究会誌 Vol. 15; no. 1; pp. 33 - 36
Main Authors 西宮, 弘, 畠山, 直一郎, 庄司, 浩, 小松, 茂, 簾内, 純, 菅野, 労, 斉藤, 一秋, 伊豆, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本家畜臨床学会 31.03.1992
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ISSN0916-7579
1883-4590
DOI10.4190/jjvc1990.15.33

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Summary:平均体重190kgの去勢和牛4頭の尿石症の症例に対して、陰茎S状曲縦切開による結石除去後に開腹術を併用し、坐骨直腸窩から膀胱に套管針を刺入して膀胱洗浄を実施し、膀胱結石除去を試みた。すなわち陰茎S状曲縦切開術を実施し閉塞した結石を除去し、尿道カテーテルを留置した。このカテーテルの上端は膀胱頸部とし下端は包皮腔内とした。カテーテルが容易に膀胱内に達しない場合は坐骨部尿道切開によりカテーテルを膀胱に導いた。次に開腹術を併用して坐骨直腸窩膀胱瘻設置術を実施した。すなわち腹腔内に挿入した手で膀胱を固定し坐骨直腸窩から刺入した套管針で膀胱頸部を穿刺した。次ぎに套管針内針を抜き排尿終了後套管針から洗浄液を膀胱に送り洗浄した。洗浄液が排出されると同時に膀胱結石・膿様物が排出された。洗浄終了後膀胱留置カテーテルを設置・固定し、術野を型通り縫合し手術を終了した。今回の4例は膀胱破裂・膀胱麻痺など重傷例が多かったが後遺症や再発は無く全例治癒した。自然排尿発現までは膀胱麻痺:が著明な症例が多いためか平均20日を要した。除去した膀胱結石は最大直径4mmで砂粒状から米粒状が殆どであった。以上より尿石症の外科治療において閉塞した結石を除去し、さらに膀胱を洗浄し膀胱結石を除去することは有効な方法と思われた。
ISSN:0916-7579
1883-4590
DOI:10.4190/jjvc1990.15.33