体験の回避はコーピングと区別される――情動制御方略としての独自性と心理的ストレス反応への影響の検討

本研究では体験の回避とコーピングとの関連,そして体験の回避が心理的ストレス反応に及ぼす影響について検討した。大学生にAAQ-JとTAC-24, SRS-18への回答を依頼し,回答に不備のない357名(うち男性119名)が分析の対象となった。まずAAQ-JとTAC-24の全項目の探索的因子分析を実施した結果,体験の回避を示す2因子とコーピングを示す7因子が抽出された。次にSRS-18の下位尺度得点を目的変数,AAQ-JとTAC-24の下位尺度得点を説明変数とした階層的重回帰分析を行ったところ,体験の回避を示す因子はSRS-18のすべての下位尺度と関連していた。以上の結果から体験の回避という概念が...

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Published inパーソナリティ研究 Vol. 27; no. 1; pp. 12 - 20
Main Author 松本, 明生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 01.07.2018
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ISSN1348-8406
1349-6174
DOI10.2132/personality.27.1.2

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Summary:本研究では体験の回避とコーピングとの関連,そして体験の回避が心理的ストレス反応に及ぼす影響について検討した。大学生にAAQ-JとTAC-24, SRS-18への回答を依頼し,回答に不備のない357名(うち男性119名)が分析の対象となった。まずAAQ-JとTAC-24の全項目の探索的因子分析を実施した結果,体験の回避を示す2因子とコーピングを示す7因子が抽出された。次にSRS-18の下位尺度得点を目的変数,AAQ-JとTAC-24の下位尺度得点を説明変数とした階層的重回帰分析を行ったところ,体験の回避を示す因子はSRS-18のすべての下位尺度と関連していた。以上の結果から体験の回避という概念がコーピングとは区別可能であること,そして心理的ストレス反応と関連するものであることが示された。
ISSN:1348-8406
1349-6174
DOI:10.2132/personality.27.1.2