長期の病悩期間を有し, 中腸軸捻転を発症した成人腸回転異常症の1例
症例は70歳, 女性. 間欠的な腹痛, 腹満症状で入退院を繰り返していた. 初診より約8 ヶ月目に腹満, 嘔吐症状により入院となった. CTで上腸間膜動脈を軸としたwhirl-like patternを認め, 絞扼性イレウスと判断して緊急手術を施行した. 術中所見では, 絞扼されていたのは後腹膜に固定されていない移動盲腸および上行結腸であり, 腸回転異常症に起因する中腸軸捻転と診断した. 絞扼腸管は浮腫が強くmotilityが不良と判断されたため, 回腸30cmおよび右側結腸を切除した. 術後経過は良好で, 14日目に退院した. 本症例は捻転と自然整復を繰り返し間欠的な腹部症状を生じる慢性例で...
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| Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 61; no. 4; pp. 525 - 529 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
北関東医学会
01.11.2011
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| Subjects | |
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| ISSN | 1343-2826 1881-1191 |
| DOI | 10.2974/kmj.61.525 |
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| Summary: | 症例は70歳, 女性. 間欠的な腹痛, 腹満症状で入退院を繰り返していた. 初診より約8 ヶ月目に腹満, 嘔吐症状により入院となった. CTで上腸間膜動脈を軸としたwhirl-like patternを認め, 絞扼性イレウスと判断して緊急手術を施行した. 術中所見では, 絞扼されていたのは後腹膜に固定されていない移動盲腸および上行結腸であり, 腸回転異常症に起因する中腸軸捻転と診断した. 絞扼腸管は浮腫が強くmotilityが不良と判断されたため, 回腸30cmおよび右側結腸を切除した. 術後経過は良好で, 14日目に退院した. 本症例は捻転と自然整復を繰り返し間欠的な腹部症状を生じる慢性例であった. 慢性の不定愁訴を症状とする腹痛患者の診察においても, 多彩な病態をとる本疾患の可能性も念頭にいれて診察を行うことが重要であると考えられる. |
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| ISSN: | 1343-2826 1881-1191 |
| DOI: | 10.2974/kmj.61.525 |