True neurogenic thoracic outlet syndrome (TOS) の臨床的・電気生理学的特徴

胸郭出口症候群 (TOS) の概念については欧米で議論があり, true neurogenic TOS (TNTOS) とdisputed neurogenic TOS (DNTOS) との区別が論じられている。しかし本邦ではこの点についての十分な言及やTNTOSの症例報告は少ない。本論文では過去12年間に経験したTNTOS 4例の臨床像・電気生理学的所見を提示する。主訴は全例母指球筋の萎縮と巧緻運動障害で, 前腕内側に軽度の感覚障害を認めた。運動神経伝導検査の障害は正中神経が尺骨神経より強く, 感覚神経伝導検査の障害は内側前腕皮神経が最強で, 次いで尺骨神経と正中神経環指記録が障害され, T...

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Published in臨床神経生理学 Vol. 40; no. 3; pp. 131 - 139
Main Authors 川上, 治, 河村, 保臣, 東原, 真奈, 千葉, 厚郎, 谷口, 真, 所澤, 安展, 清水, 輝夫, 安藤, 哲朗, 園生, 雅弘, 内堀, 歩, 畑中, 裕己, 久野木, 順一, 大石, 知瑞子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本臨床神経生理学会 01.06.2012
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ISSN1345-7101
2188-031X
DOI10.11422/jscn.40.131

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Summary:胸郭出口症候群 (TOS) の概念については欧米で議論があり, true neurogenic TOS (TNTOS) とdisputed neurogenic TOS (DNTOS) との区別が論じられている。しかし本邦ではこの点についての十分な言及やTNTOSの症例報告は少ない。本論文では過去12年間に経験したTNTOS 4例の臨床像・電気生理学的所見を提示する。主訴は全例母指球筋の萎縮と巧緻運動障害で, 前腕内側に軽度の感覚障害を認めた。運動神経伝導検査の障害は正中神経が尺骨神経より強く, 感覚神経伝導検査の障害は内側前腕皮神経が最強で, 次いで尺骨神経と正中神経環指記録が障害され, Th1優位下神経幹での腕神経叢障害と局在診断された。これらの例以外で同一期間内にTOSとして紹介された7例中6例は電気生理学異常を伴わず心因性と診断され, DNTOSの範疇と考えられた。TNTOSは臨床的には運動障害優位で, Th1優位の下神経幹障害という均一な病像を示す稀な疾患である。DNTOSの本態は未だ不明である。
ISSN:1345-7101
2188-031X
DOI:10.11422/jscn.40.131