脳機能と腸内細菌叢

「要旨」腸内細菌叢は様々な生理機能や病態形成において重要な役割を果たしているが, 脳機能に対する影響については明らかではない. 近年, いくつかの研究グループより腸内細菌は宿主のストレス応答や行動特性に影響することが示されている. 本稿では, 筆者らの人工菌叢マウスを用いた実験結果を元に, 本研究領域の現状と最近の進展について概説した. 「はじめに」近年の腸内細菌研究の進展に伴い新しい知見が続々と明らかにされている. なかでも腸内細菌と脳・中枢神経機能との関係は多くの研究者の関心を集めている. この研究領域は, 脳と腸との双方向的な情報伝達(脳腸相関)における腸内細菌の役割を重視して“腸内細菌...

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Published inChōnai saikingaku zasshi Vol. 31; no. 1; pp. 23 - 32
Main Author 須藤, 信行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published Tokyo 公益財団法人 腸内細菌学会 2017
日本ビフィズス菌センター
Japan Science and Technology Agency
Subjects
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ISSN1343-0882
1349-8363
DOI10.11209/jim.31.23

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Summary:「要旨」腸内細菌叢は様々な生理機能や病態形成において重要な役割を果たしているが, 脳機能に対する影響については明らかではない. 近年, いくつかの研究グループより腸内細菌は宿主のストレス応答や行動特性に影響することが示されている. 本稿では, 筆者らの人工菌叢マウスを用いた実験結果を元に, 本研究領域の現状と最近の進展について概説した. 「はじめに」近年の腸内細菌研究の進展に伴い新しい知見が続々と明らかにされている. なかでも腸内細菌と脳・中枢神経機能との関係は多くの研究者の関心を集めている. この研究領域は, 脳と腸との双方向的な情報伝達(脳腸相関)における腸内細菌の役割を重視して“腸内細菌-脳腸相関”あるいは“腸内細菌-脳-腸軸”と呼ばれている. 本稿では, 腸内細菌が脳機能や精神機能に及ぼす影響について筆者らの研究成果を元に概説する. 「1. 腸内細菌とストレス応答」生体は, 有害なストレス刺激に曝露された時, 主として視床下部-下垂体-副腎軸(hypothalamic-pituitary-adrenal axis: HPA axis)と交感神経系を活性化させて体内の恒常性を維持する.
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ISSN:1343-0882
1349-8363
DOI:10.11209/jim.31.23