Cyanamide投与に関連した再生不良性貧血の1例

【症 例】 65歳男性,C型肝炎,アルコール性肝障害,アルコール依存症,糖尿病,高血圧のため前医通院,禁酒のためX年4月11日からcyanamide(70mg/日)を内服していた.X年5月29日に左足の脱力感,構音障害が出現し当院へ救急搬送され,Hb 9.6g/dl,WBC 700/l(Neutrophile 49/l),Plt 3.5万/lと汎血球減少を認めた.骨髄穿刺ではcellularity 10%と低形成性骨髄で,形態異常を認めず,染色体は正常核型,PNH血球は検出されなかった.所見から再生不良性貧血(stage 5)が疑われたが,アルコール離脱せん妄と考えられる意識障害が強くMRI,...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 68; no. 4; pp. 261 - 265
Main Authors 田原, 研一, 小川, 孔幸, 柳沢, 邦雄, 石埼, 卓馬, 大崎, 洋平, 塚本, 憲史, 半田, 寛, 寺崎, 幸恵, 清水, 啓明, 金谷, 秀平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.11.2018
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.68.261

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Summary:【症 例】 65歳男性,C型肝炎,アルコール性肝障害,アルコール依存症,糖尿病,高血圧のため前医通院,禁酒のためX年4月11日からcyanamide(70mg/日)を内服していた.X年5月29日に左足の脱力感,構音障害が出現し当院へ救急搬送され,Hb 9.6g/dl,WBC 700/l(Neutrophile 49/l),Plt 3.5万/lと汎血球減少を認めた.骨髄穿刺ではcellularity 10%と低形成性骨髄で,形態異常を認めず,染色体は正常核型,PNH血球は検出されなかった.所見から再生不良性貧血(stage 5)が疑われたが,アルコール離脱せん妄と考えられる意識障害が強くMRI,インジウム骨髄シンチグラフィーなどの画像検査は施行できなかった.せん妄治療のため精神科病棟に入院し,蜂窩織炎を合併していたため抗菌薬を投与,内服薬をすべて中止し,G-CSFの投与を施行した.血球は6日で回復し,cyanamide以外の内服薬再開後も血球減少は認められなかったことから,cyanamideによる薬剤性再生不良性貧血と考えられた.【考 察】 cyanamide関連再生不良性貧血の報告は少なく,文献的には症例報告を3例認めるのみであった.内服開始から発症までの期間は20日から6ヶ月,回復までの期間は2-4週,cyanamideの内服量は50-120mg/日で本症例と一致する.稀な有害事象であり適切な治療で救命し得た症例と考え報告する.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.68.261