腸管壊死により緊急手術を要した巨大腸間膜悪性リンパ腫の1例

症例は76歳の男性で,食思不振,腹部膨満感を主訴に受診した.初診時,腹部に圧痛はなかった.血液検査にて,炎症反応,LDHの軽度上昇と,可溶性IL-2レセプターの著明な上昇を認め,腹部CTにて,下腹部に不整で不均一に造影される巨大な腫瘤を認めた.上腸間膜動静脈を含む腸間膜が腫瘤に圧迫され,sandwich signを呈していたため,腸間膜悪性リンパ腫と診断した.造影CTにて小腸に虚血を疑わせる所見があり,入院後,腹痛が増悪したため緊急手術を行った.回腸が20 cmにわたって壊死を起こしており,腫瘍とともに回盲部,回腸約100 cmを切除した.病理診断は,diffuse large B-cell...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 70; no. 3; pp. 255 - 260
Main Authors 檀原, 哲也, 堤, 裕史, 橋本, 直樹, 沼賀, 有紀, 調, 憲, 岩崎, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.08.2020
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.70.255

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Summary:症例は76歳の男性で,食思不振,腹部膨満感を主訴に受診した.初診時,腹部に圧痛はなかった.血液検査にて,炎症反応,LDHの軽度上昇と,可溶性IL-2レセプターの著明な上昇を認め,腹部CTにて,下腹部に不整で不均一に造影される巨大な腫瘤を認めた.上腸間膜動静脈を含む腸間膜が腫瘤に圧迫され,sandwich signを呈していたため,腸間膜悪性リンパ腫と診断した.造影CTにて小腸に虚血を疑わせる所見があり,入院後,腹痛が増悪したため緊急手術を行った.回腸が20 cmにわたって壊死を起こしており,腫瘍とともに回盲部,回腸約100 cmを切除した.病理診断は,diffuse large B-cell lymphomaであった.同疾患はガイドラインに従うと,化学療法,放射線療法が基本であるが,本例のように,腫瘍の巨大化により腸管の血流障害を引き起こし,緊急手術要する必要が生じることがある.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.70.255