気管支分岐異常を伴った右肺上葉切除術後の中葉軸捻転の1例

背景.肺葉切除後の稀な合併症として残存肺の捻転症がある.症例. 82歳の男性で,右肺癌に対し右肺上葉切除術を施行した.術前の気管支鏡検査にて右上葉気管支の分岐異常を認めていた.術後3日目より胸部X線写真にて右中肺野の透過性の低下を認め,術後5日目の胸部CTにて中葉軸捻転が疑われた.再手術を施行したところ,中葉は中間気管支幹を軸に下葉の背側へ落ち込む形で捻転しており,中葉切除を行った.再手術後の経過は良好であった.結論.肺切除後の軸捻転は死亡例の報告もあり,頻度は低いが留意すべき合併症の1つである.気管支分岐異常を認める症例では,気管支の形状によっては軸捻転を起こしやすい可能性が考えられた....

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 35; no. 5; pp. 521 - 524
Main Authors 川野, 大悟, 塚本, 修一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2013
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.35.5_521

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Summary:背景.肺葉切除後の稀な合併症として残存肺の捻転症がある.症例. 82歳の男性で,右肺癌に対し右肺上葉切除術を施行した.術前の気管支鏡検査にて右上葉気管支の分岐異常を認めていた.術後3日目より胸部X線写真にて右中肺野の透過性の低下を認め,術後5日目の胸部CTにて中葉軸捻転が疑われた.再手術を施行したところ,中葉は中間気管支幹を軸に下葉の背側へ落ち込む形で捻転しており,中葉切除を行った.再手術後の経過は良好であった.結論.肺切除後の軸捻転は死亡例の報告もあり,頻度は低いが留意すべき合併症の1つである.気管支分岐異常を認める症例では,気管支の形状によっては軸捻転を起こしやすい可能性が考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.35.5_521