腫瘍随伴性小脳変性症に対して免疫グロブリン大量療法を施行した限局型小細胞肺癌の1例

背景.腫瘍随伴性小脳変性症は確立された治療法がなく,化学療法が主体となるが一般的に治療抵抗性である.そのため,様々な治療が報告されている.症例.63歳,男性.めまい,ふらつきを主訴に近医を受診した.急性期脳梗塞に準じた治療を受けたが,治療後も症状の改善に乏しいため,精査目的で当院に転院した.転院後の胸腹部CT検査で縦隔リンパ節が腫大しており,同部位の超音波気管支鏡ガイド下リンパ節生検で小細胞肺癌(cTxN2M0,限局型)を認め,腫瘍随伴性小脳変性症と診断した.初回治療としてカルボプラチンとエトポシド併用全身化学療法ならびに縦隔リンパ節に対して放射線療法を同時に施行したが,神経症状の改善に乏しか...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 37; no. 3; pp. 312 - 318
Main Authors 川波, 敏則, 丈達, 陽順, 山崎, 啓, 迎, 寛, 西田, 千夏, 川波, 由紀子, 石本, 裕士, 矢寺, 和博, 赤田, 憲太朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2015
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.37.3_312

Cover

More Information
Summary:背景.腫瘍随伴性小脳変性症は確立された治療法がなく,化学療法が主体となるが一般的に治療抵抗性である.そのため,様々な治療が報告されている.症例.63歳,男性.めまい,ふらつきを主訴に近医を受診した.急性期脳梗塞に準じた治療を受けたが,治療後も症状の改善に乏しいため,精査目的で当院に転院した.転院後の胸腹部CT検査で縦隔リンパ節が腫大しており,同部位の超音波気管支鏡ガイド下リンパ節生検で小細胞肺癌(cTxN2M0,限局型)を認め,腫瘍随伴性小脳変性症と診断した.初回治療としてカルボプラチンとエトポシド併用全身化学療法ならびに縦隔リンパ節に対して放射線療法を同時に施行したが,神経症状の改善に乏しかったため,治療開始19日目より免疫グロブリン大量療法を施行し,神経症状の改善および進行の抑制効果を認めた.結論.免疫グロブリン大量療法は神経症状の改善に有効である可能性が考えられた.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.37.3_312