気管支狭窄をきたし肺炎を反復したウエステルマン肺吸虫症の1例
症例は37歳, 男性。1991年頃より右肺の肺炎を繰り返していた。1995年8月初旬に黄色痰と37℃台の発熱が出現し, 胸部X線写真で右中, 下肺野の浸潤影と右肺門部腫瘤陰影を認めた。当科入院後施行した気管支鏡検査では右B^5aとB^6入口部の狭窄を認めた。気管支肺胞洗浄検査では悪性細胞を認めず, 好酸球が69%と上昇していた。猪摂取歴があるため肺吸虫症を疑った。Dot-ELISA法による血清抗体価測定とOuchterlony二重拡散法を施行したところ, ウエテルマン肺吸虫のみが陽性であり, ウエテルマン肺吸虫症と診断した。虫卵は発見できなかったが, プラジカンテル4700mg/dayを3日間...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 22; no. 4; pp. 300 - 304 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2000
日本気管支学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.22.4_300 |
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Summary: | 症例は37歳, 男性。1991年頃より右肺の肺炎を繰り返していた。1995年8月初旬に黄色痰と37℃台の発熱が出現し, 胸部X線写真で右中, 下肺野の浸潤影と右肺門部腫瘤陰影を認めた。当科入院後施行した気管支鏡検査では右B^5aとB^6入口部の狭窄を認めた。気管支肺胞洗浄検査では悪性細胞を認めず, 好酸球が69%と上昇していた。猪摂取歴があるため肺吸虫症を疑った。Dot-ELISA法による血清抗体価測定とOuchterlony二重拡散法を施行したところ, ウエテルマン肺吸虫のみが陽性であり, ウエテルマン肺吸虫症と診断した。虫卵は発見できなかったが, プラジカンテル4700mg/dayを3日間内服投与した。8ヵ月後の胸部CTでは, 炎症後の気管支拡張所見を残すのみであった。また, 画像上, 右B^5aとB^6入口部は前回より開大していた。ウエテルマン肺吸虫の虫嚢結節による気管支壁外圧排により閉塞性肺炎を繰り返していた可能性が考えられた。 |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.22.4_300 |