理想的な気道ステントの開発をめざして(<特集>気道狭窄に対する気管支鏡下治療)

背景.近年飛躍的な発展を遂げた医療分野のひとつが気道ステントによる治療法であるが,いまだ理想的な気道ステントの開発には至っていない.理想的な気道ステントは(1)挿入が容易で除去が容易,(2)種々のサイズの狭窄に対応,(3)いったん留置されると位置移動しない,(4)外圧によって内腔が虚脱せず気道の生理的な形態に適応する柔軟性を有する,(5)生体に無害で組織刺激がなく,肉芽形成を促進しない,(6)正常の気道上皮の生理環境(喀痰排泄)を損なわないことなどである.目的と方法.本論文ではpoly-L-lactic acid(PLLA)にて作製した気管ステントの生体適合性,抗張力および気道への誘導と展開に...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 25; no. 6; pp. 405 - 407
Main Author 齊藤, 幸人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2003
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.25.6_405

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Summary:背景.近年飛躍的な発展を遂げた医療分野のひとつが気道ステントによる治療法であるが,いまだ理想的な気道ステントの開発には至っていない.理想的な気道ステントは(1)挿入が容易で除去が容易,(2)種々のサイズの狭窄に対応,(3)いったん留置されると位置移動しない,(4)外圧によって内腔が虚脱せず気道の生理的な形態に適応する柔軟性を有する,(5)生体に無害で組織刺激がなく,肉芽形成を促進しない,(6)正常の気道上皮の生理環境(喀痰排泄)を損なわないことなどである.目的と方法.本論文ではpoly-L-lactic acid(PLLA)にて作製した気管ステントの生体適合性,抗張力および気道への誘導と展開について動物実験の成績を報告する.結果.私達が作製した新しい生体吸収性素材poly-L-lactic acidステントは組織適合性に優れ,良好な抗張力を示し通常の気管支鏡を用いたステント誘導とバルンによる気道内展開および留置が可能であった.本ステントは従来のシリコンステントや金属ステントに続く新しい素材としての臨床応用が期待出来る.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.25.6_405