バイオフィルムと酸化性殺菌剤;バイオフィルムモデルを用いた殺菌・除去効果評価

「1. はじめに」環境において, 微生物の多くは器物に付着して存在し, 水気があるところでは複数の細菌の集合体であるバイオフィルム(biofilm)を形成している. バイオフィルムでは菌体の付着だけでなく付着基質表面上で多糖類や菌体成分を含む細胞外ポリマーなどからなるバイオフィルムマトリックスが形成され, さらには他の微生物とも相互影響をおよぼしあう共同的な生活空間となっている. バイオフィルムの形成は自然環境において水や土壌の浄化などに大きな役割を果たしているが, その形成は様々な分野において熱交換率の低下, 水供給率の低下, 微生物腐食, そして微生物汚染等を引き起こす原因となっている....

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 137; no. 6; pp. 707 - 717
Main Author 立川, 眞理子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.06.2017
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.16-00254

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Summary:「1. はじめに」環境において, 微生物の多くは器物に付着して存在し, 水気があるところでは複数の細菌の集合体であるバイオフィルム(biofilm)を形成している. バイオフィルムでは菌体の付着だけでなく付着基質表面上で多糖類や菌体成分を含む細胞外ポリマーなどからなるバイオフィルムマトリックスが形成され, さらには他の微生物とも相互影響をおよぼしあう共同的な生活空間となっている. バイオフィルムの形成は自然環境において水や土壌の浄化などに大きな役割を果たしているが, その形成は様々な分野において熱交換率の低下, 水供給率の低下, 微生物腐食, そして微生物汚染等を引き起こす原因となっている. したがって水の処理管理施設, 食品や医薬品の製造ライン, プール水や温泉水の衛生管理, そして医療器具や病院の衛生管理などにおいて, バイオフィルムの殺菌・除去が強く求められている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.16-00254