Khoranaスコアによる静脈血栓塞栓症の発症予測の文献検討

「緒言」静脈血栓塞栓症venous thromboembolism(VTE)は, 米国では年間60万人程度が発症しており, わが国でも欧米化や高齢化に伴い増加している. VTEは深部静脈血栓塞栓症deep vein thrombosis(DVT), 肺塞栓症pulmonary embolism(PE)を総称した疾患概念である. VTE発症リスク因子としては, がん, 長期臥床, 化学療法, 手術, 中心静脈カテーテル留置などの関連が報告されている. 担がん患者では原病の進展についでがん関連死因の9%で第2位を占め, 非がん患者に比べ4-7倍のVTE発症リスクを有する. また, 存命がん患者の2...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 141; no. 4; pp. 611 - 622
Main Authors 池田, 義明, 西村, 明莉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.04.2021
日本薬学会
Subjects
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.20-00228

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Summary:「緒言」静脈血栓塞栓症venous thromboembolism(VTE)は, 米国では年間60万人程度が発症しており, わが国でも欧米化や高齢化に伴い増加している. VTEは深部静脈血栓塞栓症deep vein thrombosis(DVT), 肺塞栓症pulmonary embolism(PE)を総称した疾患概念である. VTE発症リスク因子としては, がん, 長期臥床, 化学療法, 手術, 中心静脈カテーテル留置などの関連が報告されている. 担がん患者では原病の進展についでがん関連死因の9%で第2位を占め, 非がん患者に比べ4-7倍のVTE発症リスクを有する. また, 存命がん患者の20%, 剖検時には50%のがん患者でVTEが生じていたとの報告があり, 予後の悪化と緊密な関係にある. したがって, VTE発症を予測するツールが開発されている. 2008年に化学療法を受けている外来がん患者を対象とした前方視的調査においてVTE発症予測モデルとしてKhoranaスコアが提唱された.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.20-00228