重症心身障害児 (者) における誤嚥防止術後の気管腕頭動脈瘻に関する検討
目的: 喉頭気管分離術・喉頭摘出術後の重篤な合併症である気管腕頭動脈瘻について, そのリスク因子を検討することを目的とした. 方法: 対象は横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科において喉頭気管分離術・喉頭摘出術を施行された重症心身障害児 (者) 21症例である. 術後気管カニューレ留置を必要とし, 気管内出血の合併症が生じた群 (n=2) を A 群, 術後気管カニューレ留置を必要とし, 気管内出血の合併症が生じなかった群 (n=6) を B 群, 術後気管カニューレ留置を必要とせず, 気管内出血の合併症が生じなかった群 (n=13) を C 群とし, この3群間で術前画像検査での気...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科学会会報 Vol. 121; no. 3; pp. 215 - 221 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
20.03.2018
日本耳鼻咽喉科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0030-6622 1883-0854 |
DOI | 10.3950/jibiinkoka.121.215 |
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Summary: | 目的: 喉頭気管分離術・喉頭摘出術後の重篤な合併症である気管腕頭動脈瘻について, そのリスク因子を検討することを目的とした. 方法: 対象は横浜市立大学附属市民総合医療センター耳鼻咽喉科において喉頭気管分離術・喉頭摘出術を施行された重症心身障害児 (者) 21症例である. 術後気管カニューレ留置を必要とし, 気管内出血の合併症が生じた群 (n=2) を A 群, 術後気管カニューレ留置を必要とし, 気管内出血の合併症が生じなかった群 (n=6) を B 群, 術後気管カニューレ留置を必要とせず, 気管内出血の合併症が生じなかった群 (n=13) を C 群とし, この3群間で術前画像検査での気管前後径, 胸郭前後径, コブ角を検討した. 結果: 気管前後径は A 群 6.6mm, B 群 14mm, C 群 13mm (群間で有意差), 胸郭前後径は A 群 21mm, B 群 35mm, C 群 40mm (A 群-C 群間 p=0.03), コブ角は A 群81°, B 群24°, C 群29° (A 群-B 群間 p=0.04, A 群-C 群間 p=0.05) であった. A 群は B, C 群に比べ, 気管前後径, 胸郭前後径が短い傾向を示し, コブ角は有意に大きかった. 考察: 気管前後径, 胸郭前後径, コブ角は気管腕頭動脈瘻のリスク因子と考えられ, 術前画像評価の有用性が示唆された. 過去の文献報告を併せて考察すると, 胸郭前後径20mm以下, コブ角80~90° 以上の症例は気管腕頭動脈瘻のリスクが高いと考えられる. |
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ISSN: | 0030-6622 1883-0854 |
DOI: | 10.3950/jibiinkoka.121.215 |