自己抗体が介在する自己免疫性視神経炎

自己免疫機序による視神経炎は,抗aquaporin(AQP)4抗体および抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体の発見により,多発性硬化症に加え,少なくとも3つの異なる機序を有する炎症性視神経炎の存在が明らかになった.3者とも臨床的特徴,疾患経過,治療反応性,病態などが異なるため,急性・亜急性経過の視神経炎では,適切な抗体診断と,視神経を含んだ中枢神経系のMRI検査が必須になった.特に,抗AQP4抗体陽性視神経炎は,重篤な視機能障害を呈し,再発性で治療への反応が不良であることが多く,積極的かつ長期の継続治療が必要である.抗MOG抗体陽性視神経炎は,...

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Published in神経眼科 Vol. 38; no. 2; pp. 117 - 123
Main Author 田中, 惠子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経眼科学会 25.06.2021
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ISSN0289-7024
2188-2002
DOI10.11476/shinkeiganka.38.117

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Summary:自己免疫機序による視神経炎は,抗aquaporin(AQP)4抗体および抗myelin oligodendrocyte glycoprotein(MOG)抗体の発見により,多発性硬化症に加え,少なくとも3つの異なる機序を有する炎症性視神経炎の存在が明らかになった.3者とも臨床的特徴,疾患経過,治療反応性,病態などが異なるため,急性・亜急性経過の視神経炎では,適切な抗体診断と,視神経を含んだ中枢神経系のMRI検査が必須になった.特に,抗AQP4抗体陽性視神経炎は,重篤な視機能障害を呈し,再発性で治療への反応が不良であることが多く,積極的かつ長期の継続治療が必要である.抗MOG抗体陽性視神経炎は,同様に重篤な視機能障害を呈するが,ステロイド治療に対する反応が良好で回復が期待できる.しかしながら,再発性であるため,治療の継続が必要になることが多い.最近,抗AQP4抗体陽性群については,補体C5拮抗薬やIL-6受容体阻害薬など,病態を踏まえた新規治療薬の使用が可能になっており,再発予防効果が期待されている.
ISSN:0289-7024
2188-2002
DOI:10.11476/shinkeiganka.38.117