境界型の耐糖能の推移における体重変化の重要性

目的:糖尿病の進展を抑制するためには,耐糖能の悪化や改善に関与する因子を明らかにすることが必要である.今回,境界型の例で経時的に耐糖能を観察し得た例を対象に耐糖能の改善・悪化に関与する因子の解析を行った.対象:1998年の当院人間ドックの耐糖能検査で境界型と診断された例のうち,2001年に再び当院人間ドックを受診した例を対象とした.人数は155名(男性128名,女性27名)であった.2001年の耐糖能により,正常型,境界型,糖尿病型の3群に分類し,各群のデータを比較検討した.また,3年間の体重変動量に基づいて群別し,各群の耐糖能の推移も検討した.結果:3年間の経過で境界型の49%は境界型のまま...

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Published in人間ドック Vol. 20; no. 3; pp. 535 - 539
Main Authors 橋本, 久仁彦, 古賀, 正史, 斎藤, 博, 向井, 幹夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2005
日本人間ドック学会
Subjects
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ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock2005.20.535

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Summary:目的:糖尿病の進展を抑制するためには,耐糖能の悪化や改善に関与する因子を明らかにすることが必要である.今回,境界型の例で経時的に耐糖能を観察し得た例を対象に耐糖能の改善・悪化に関与する因子の解析を行った.対象:1998年の当院人間ドックの耐糖能検査で境界型と診断された例のうち,2001年に再び当院人間ドックを受診した例を対象とした.人数は155名(男性128名,女性27名)であった.2001年の耐糖能により,正常型,境界型,糖尿病型の3群に分類し,各群のデータを比較検討した.また,3年間の体重変動量に基づいて群別し,各群の耐糖能の推移も検討した.結果:3年間の経過で境界型の49%は境界型のままであったが,37%が正常型に,14%が糖尿病型に移行した.1998年で耐糖能障害の例において負荷後2時間血糖値が高値な程,糖尿病型への移行率は高率であった.正常型に移行した群では有意な体重減少を認め,糖尿病型に移行した群では体重増加傾向を示した.さらに,体重変動量と耐糖能の推移の検討では,3kg/3y以上の体重減少した群は60%が正常型へ,8%が糖尿病型に移行し,3kg/3y以上の体重が増加した群では8%が正常型へ,39%が糖尿病型へ移行していた(p<0.01).結論:境界型において体重の減量・増加が各々耐糖能の改善・悪化に関連していた.境界型に対して減量の指導の重要性が示唆された.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock2005.20.535