術前胆道ドレナージからみた胆道癌術後感染対策

胆道癌に対する唯一の根治的治療は外科切除であるが,胆道癌症例では術前に癌性胆道狭窄による閉塞性黄疸をきたすことがあり,さらに胆管炎を併発することもある。そのため,術前に胆道ドレナージを行い,必要十分な減黄と適切な胆道感染制御を行う必要がある。膵頭十二指腸切除症例においては意見が分かれるが,少なくとも広範囲肝切除症例に対する術前胆道ドレナージの有用性は明らかとされ,その方法としては経皮的アプローチと比較すると内視鏡的ドレナージが推奨される。術後感染には胆汁からの感染の頻度が多く,ドレナージ胆汁の細菌培養結果を参考にして適切な抗菌薬選択をするなどの感染対策を行う。胆道ドレナージの功罪についての理解...

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Published in日本外科感染症学会雑誌 Vol. 15; no. 4; pp. 294 - 300
Main Authors 古川, 勝規, 酒井, 望, 久保木, 知, 高屋敷, 吏, 大塚, 将之, 吉富, 秀幸, 鈴木, 大亮, 高野, 重紹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本外科感染症学会 31.08.2018
Japan Society for Surgical Infection
Subjects
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ISSN1349-5755
2434-0103
DOI10.24679/gekakansen.15.4_294

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Summary:胆道癌に対する唯一の根治的治療は外科切除であるが,胆道癌症例では術前に癌性胆道狭窄による閉塞性黄疸をきたすことがあり,さらに胆管炎を併発することもある。そのため,術前に胆道ドレナージを行い,必要十分な減黄と適切な胆道感染制御を行う必要がある。膵頭十二指腸切除症例においては意見が分かれるが,少なくとも広範囲肝切除症例に対する術前胆道ドレナージの有用性は明らかとされ,その方法としては経皮的アプローチと比較すると内視鏡的ドレナージが推奨される。術後感染には胆汁からの感染の頻度が多く,ドレナージ胆汁の細菌培養結果を参考にして適切な抗菌薬選択をするなどの感染対策を行う。胆道ドレナージの功罪についての理解と症例ごとの適切な胆道ドレナージ法の選択,さらに,そこから得られる貴重な情報を最大限に活かした感染対策を行うことが,術後感染性合併症を回避した安全な胆道癌外科手術にもっとも重要と考える。
ISSN:1349-5755
2434-0103
DOI:10.24679/gekakansen.15.4_294