上皮性異形成および口腔扁平上皮癌におけるIL-1 receptor antagonist (IL-1RA) の発現様相

IL-1はαとβの2種類の分子が存在しており, 転移関連遺伝子や転写因子を介して腫瘍との密接な関連が報告されている. またIL-1は, IL-1受容体と結合するドメインを持つがシグナル活性化部位を持たないIL-1RAが存在することが知られている. 近年, このIL-1RAは転移や予後などの腫瘍との関連が報告されている. また, IL-1RAには細胞内型と分泌型の2つのアイソフォームが存在することが明らかになっている. このうち細胞内型は主に上皮細胞に発現していることが知られているが, 癌との関連は未だ未解明な部分が多い. 我々は, 口腔扁平上皮癌の凍結組織切片を用いて免疫染色を行い, IL-1...

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Published inDental Medicine Research Vol. 29; no. 3; pp. 241 - 246
Main Authors 山本, 剛, 立川, 哲彦, 田口, 正博, 松永, 拓, 磯邊, 友秀, 入江, 太朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 2009
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ISSN1882-0719
2186-540X
DOI10.7881/dentalmedres.29.241

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Summary:IL-1はαとβの2種類の分子が存在しており, 転移関連遺伝子や転写因子を介して腫瘍との密接な関連が報告されている. またIL-1は, IL-1受容体と結合するドメインを持つがシグナル活性化部位を持たないIL-1RAが存在することが知られている. 近年, このIL-1RAは転移や予後などの腫瘍との関連が報告されている. また, IL-1RAには細胞内型と分泌型の2つのアイソフォームが存在することが明らかになっている. このうち細胞内型は主に上皮細胞に発現していることが知られているが, 癌との関連は未だ未解明な部分が多い. 我々は, 口腔扁平上皮癌の凍結組織切片を用いて免疫染色を行い, IL-1RAの細胞内での局在が口腔粘膜上皮の癌化と関連がある可能性を見出した. また, レーザーマイクロダイセクション法とリアルタイムPCR法により組織内のIL-1RA遺伝子発現量解析を解析した結果, 低分化型扁平上皮癌でその発現量が減少している結果を得た. これらの結果から, IL-1RAの細胞内局在と遺伝子発現量は, 口腔扁平上皮癌の細胞分化度と密接に関連している可能性が示唆された.
ISSN:1882-0719
2186-540X
DOI:10.7881/dentalmedres.29.241