抗血小板薬内服中の脊椎手術後に出血性ショックを来し判明した後天性血友病Aの 1 例

後天性血友病Aは後天的な自己抗体産生により生じる易出血性の比較的稀な疾患で高齢者に多いとされる。今回我々は腰椎破裂骨折に対する経皮的椎体形成術後に止血コントロールに難渋した高齢者の 1 例を経験したので報告する。症例は 80 歳代女性,脳伷塞後で抗血小板薬を内服中であった。転倒し当院へ救急搬送され第 1 腰椎破裂骨折の診断で入院加療となった。来院時採血にてAPTT延長,四肢と臀部に皮下出血を認めていたが転倒および抗血小板薬内服の影響と考え経過観察となった。抗血小板薬を中止し入院 15 日目に経皮的椎体形成術を施行したが,術後創部出血のため出血性ショックとなり集中治療室に入室した。後天性血友病A...

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Published inJAPANESE JOURNAL OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE Vol. 18; no. 3; pp. 156 - 162
Main Authors 平瀬, 伸尚, 相原, 啓二, 上田, 修平, 大竹, 晶子, 二瓶, 俊一, 蒲池, 正幸, 矢野, あゆみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本病院総合診療医学会 31.05.2022
JAPAN SOCIETY OF HOSPITAL GENERAL MEDICINE
Subjects
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ISSN2185-8136
2758-7878
DOI10.60227/jhgmwabun.18.3_156

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Summary:後天性血友病Aは後天的な自己抗体産生により生じる易出血性の比較的稀な疾患で高齢者に多いとされる。今回我々は腰椎破裂骨折に対する経皮的椎体形成術後に止血コントロールに難渋した高齢者の 1 例を経験したので報告する。症例は 80 歳代女性,脳伷塞後で抗血小板薬を内服中であった。転倒し当院へ救急搬送され第 1 腰椎破裂骨折の診断で入院加療となった。来院時採血にてAPTT延長,四肢と臀部に皮下出血を認めていたが転倒および抗血小板薬内服の影響と考え経過観察となった。抗血小板薬を中止し入院 15 日目に経皮的椎体形成術を施行したが,術後創部出血のため出血性ショックとなり集中治療室に入室した。後天性血友病Aの診断となり遺伝子組換え活性型凝固第Ⅶ因子製剤,ステロイドの投与にて止血コントロールが得られた。本症例の経験から,体表の皮下出血やAPTT延長を認める症例では本疾患も念頭におき診療を行うことが必要である。
ISSN:2185-8136
2758-7878
DOI:10.60227/jhgmwabun.18.3_156