計算科学と実験科学の組み合わせにより明らかになった多剤排出トランスポーターAcrBの分子メカニズム
「1. はじめに : 結晶解析と分子動力学計算」蛋白質や核酸などの原子レベルの立体構造を基にその働きを研究する構造生物学は, 最近の分子生物学的手法, シンクロトロン放射光や計算機技術の発達により, 近年旺然たる進展をみせ, 多くの興味深い生体反応をつかさどる蛋白質, 蛋白質複合体の原子レベルでの立体構造を明らかにし, 構造に基づくそれら反応の本質的な理解に大きく貢献してきた. ここ十年のノーベル化学賞を見ると2012年 (G蛋白質共役受容体の研究), 2009年 (リボソームの構造と機能の研究), 2006年 (真核生物における転写の研究), 2003年 (イオンチャネルの構造および機能の研...
Saved in:
Published in | 生物物理 Vol. 55; no. 1; pp. 027 - 030 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本生物物理学会
2015
日本生物物理学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0582-4052 1347-4219 |
DOI | 10.2142/biophys.55.027 |
Cover
Summary: | 「1. はじめに : 結晶解析と分子動力学計算」蛋白質や核酸などの原子レベルの立体構造を基にその働きを研究する構造生物学は, 最近の分子生物学的手法, シンクロトロン放射光や計算機技術の発達により, 近年旺然たる進展をみせ, 多くの興味深い生体反応をつかさどる蛋白質, 蛋白質複合体の原子レベルでの立体構造を明らかにし, 構造に基づくそれら反応の本質的な理解に大きく貢献してきた. ここ十年のノーベル化学賞を見ると2012年 (G蛋白質共役受容体の研究), 2009年 (リボソームの構造と機能の研究), 2006年 (真核生物における転写の研究), 2003年 (イオンチャネルの構造および機能の研究) と数年に一度の頻度で生体高分子の構造に基づく機能の本質的解明にノーベル化学賞が与えられている. ここでとりわけ着目したいのがノーベル化学賞であり, 医学生理学賞でないという点である. 受容体, とりわけG蛋白質や, 蛋白質合成, イオンチャネルに関する研究は, ノーベル化学賞以前に, それぞれノーベル医学生理学賞を受けている. |
---|---|
ISSN: | 0582-4052 1347-4219 |
DOI: | 10.2142/biophys.55.027 |