化学放射線療法が奏効し,根治切除が可能となった進行胆嚢癌の1例
69歳女性.前医で胆嚢癌を指摘.肝門部リンパ節の門脈・固有肝動脈への浸潤が疑われ,切除不能と判断.S1+放射線照射(65Gy)後,GEM+CDDPによる化学療法が施行された.効果はPRで,手術目的に当院紹介となった.CT検査で胆嚢腫瘍は著明に縮小し,リンパ節も壊死性変化が疑われた.切除可能と判断し,胆嚢床切除+膵頭十二指腸切除術を施行した.胆嚢に明らかな腫瘤は認めず,リンパ節は門脈・肝動脈と強固に接していたが,剥離可能であり,根治切除を施行しえた.病理組織検査上,胆嚢のわずかな範囲で不整な腺管構造が認められ,高分化型管状腺癌と診断された.#13aリンパ節でもわずかに異型細胞が残存しており,T1...
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Published in | Tando Vol. 30; no. 2; pp. 266 - 273 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本胆道学会
2016
Japan Biliary Association |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-0077 1883-6879 |
DOI | 10.11210/tando.30.266 |
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Summary: | 69歳女性.前医で胆嚢癌を指摘.肝門部リンパ節の門脈・固有肝動脈への浸潤が疑われ,切除不能と判断.S1+放射線照射(65Gy)後,GEM+CDDPによる化学療法が施行された.効果はPRで,手術目的に当院紹介となった.CT検査で胆嚢腫瘍は著明に縮小し,リンパ節も壊死性変化が疑われた.切除可能と判断し,胆嚢床切除+膵頭十二指腸切除術を施行した.胆嚢に明らかな腫瘤は認めず,リンパ節は門脈・肝動脈と強固に接していたが,剥離可能であり,根治切除を施行しえた.病理組織検査上,胆嚢のわずかな範囲で不整な腺管構造が認められ,高分化型管状腺癌と診断された.#13aリンパ節でもわずかに異型細胞が残存しており,T1bN1M0 stage IIIBと診断した.術後2年(治療開始後2年7カ月)の現在,無再発生存中である.進行胆嚢癌の予後は不良であるが,集学的治療が予後改善に寄与する可能性が考えられた. |
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ISSN: | 0914-0077 1883-6879 |
DOI: | 10.11210/tando.30.266 |