「機能性(functional)」の対義語としての用語「器質性」について

機能性神経障害のfunctionalの対義語として英語では従来,organicが用いられ器質性と邦訳されてきた.近年英語ではorganicに代わりstructuralの用語が推奨されている.Organicの邦訳には有機と器質とがある.器質は江戸時代末期に初出し,明治初期には既に化学の領域での無機に対する有機と,医学領域での器質とが使い分けられていた.その後Bälzの講義の翻訳やCharcotの火曜講義の翻訳を通じてヒステリーに対置される器質性の訳語が定着した.以上の経緯から本邦で用語を構造性に変更する必要はなく機能性の対義語として器質性が現在でも適切であると考える....

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Bibliographic Details
Published inRinsho Shinkeigaku Vol. 65; no. 4; pp. 260 - 266
Main Authors 園生, 雅弘, 駒ヶ嶺, 朋子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2025
Societas Neurologica Japonica
Subjects
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-002065

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Summary:機能性神経障害のfunctionalの対義語として英語では従来,organicが用いられ器質性と邦訳されてきた.近年英語ではorganicに代わりstructuralの用語が推奨されている.Organicの邦訳には有機と器質とがある.器質は江戸時代末期に初出し,明治初期には既に化学の領域での無機に対する有機と,医学領域での器質とが使い分けられていた.その後Bälzの講義の翻訳やCharcotの火曜講義の翻訳を通じてヒステリーに対置される器質性の訳語が定着した.以上の経緯から本邦で用語を構造性に変更する必要はなく機能性の対義語として器質性が現在でも適切であると考える.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-002065