Mizoribineによると考えられた急性薬剤性肺障害の1例

背景.Mizoribine(MZR)は抗リウマチ薬として用いられるプリン代謝拮抗薬であるが,副作用として薬剤性肺障害の報告は稀である.症例.68歳,女性.発熱と呼吸困難を主訴に来院.近医にて関節リウマチに対し,prednisolone+methotrexate(MTX)+tacrolimusの薬物治療が実施されていたが,当科初診の6日前よりMTXがMZRへ変更されていた.SpO2は71%で,胸部X線写真およびCTにて両肺野にびまん性すりガラス様陰影を認め,血液検査にてLDH値上昇,KL-6値上昇を認めた.気管支肺胞洗浄液中に著明なリンパ球増多を認め,末梢血のMZRに対する薬剤リンパ球刺激試験が...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 39; no. 1; pp. 22 - 27
Main Authors 坂本, 理, 小松, 太陽, 浦本, 秀志, 小林, 広典, 興梠, 博次, 中村, 和芳, 天神, 佑紀, 廣岡, さゆり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2017
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.39.1_22

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Summary:背景.Mizoribine(MZR)は抗リウマチ薬として用いられるプリン代謝拮抗薬であるが,副作用として薬剤性肺障害の報告は稀である.症例.68歳,女性.発熱と呼吸困難を主訴に来院.近医にて関節リウマチに対し,prednisolone+methotrexate(MTX)+tacrolimusの薬物治療が実施されていたが,当科初診の6日前よりMTXがMZRへ変更されていた.SpO2は71%で,胸部X線写真およびCTにて両肺野にびまん性すりガラス様陰影を認め,血液検査にてLDH値上昇,KL-6値上昇を認めた.気管支肺胞洗浄液中に著明なリンパ球増多を認め,末梢血のMZRに対する薬剤リンパ球刺激試験が陽性であった.以上の所見よりMZRによる急性薬剤性肺障害と診断し,MZRを中止しステロイド薬を投与したところ,病状は速やかに改善を認めた.結語.関節リウマチ患者に発症したMZRによると考えられた急性薬剤性肺障害の1例を経験した.MZRによる間質性肺炎の発症頻度や機序は不明とされており,注意を喚起する上で重要な症例と考えられたため報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.39.1_22