ラマン分光フローサイトメトリー

「はじめに」 細胞には遺伝子発現の違いから様々な個性があることが知られており, 多様な生命現象はそれらが複雑に関わり合うことで成り立っている. そのため生命現象の理解には細胞の個性に注目することが重要であり, 個々の細胞の性質を分析する一細胞分析と呼ばれる分野が関心を集めてきた. 特に大規模細胞集団の分析や希少細胞の検出へは一細胞分析の高スループット化が重要であり, マイクロ流路中に細胞を流し光学測定を行うフローサイトメトリーという手法が広く用いられている. 初期のフローサイトメトリーでは光の吸収や散乱の強度などの簡単な物理的測定のみが行われていたが, 細胞表面タンパク質などの標的分子に特異的...

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Published in生物物理 Vol. 64; no. 2; pp. 104 - 107
Main Authors 合田, 圭介, 西山, 諒, 平松, 光太郎, 古屋, 圭惟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本生物物理学会 2024
日本生物物理学会
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ISSN0582-4052
1347-4219
DOI10.2142/biophys.64.104

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Summary:「はじめに」 細胞には遺伝子発現の違いから様々な個性があることが知られており, 多様な生命現象はそれらが複雑に関わり合うことで成り立っている. そのため生命現象の理解には細胞の個性に注目することが重要であり, 個々の細胞の性質を分析する一細胞分析と呼ばれる分野が関心を集めてきた. 特に大規模細胞集団の分析や希少細胞の検出へは一細胞分析の高スループット化が重要であり, マイクロ流路中に細胞を流し光学測定を行うフローサイトメトリーという手法が広く用いられている. 初期のフローサイトメトリーでは光の吸収や散乱の強度などの簡単な物理的測定のみが行われていたが, 細胞表面タンパク質などの標的分子に特異的に結合する化学プローブ, 特に蛍光プローブを用いた蛍光フローサイトメトリーの開発により, 個々の細胞の化学的性質の測定が実現された. また蛍光タンパク質の利用や細胞分取への応用に加え, 蛍光波長の異なる複数の蛍光プローブの多色検出により複数種類の標的分子の同時測定が実現されるなど, ますます応用の幅が広がっている.
ISSN:0582-4052
1347-4219
DOI:10.2142/biophys.64.104