当院で経験した中脳海綿状血管腫3例に対する治療方針の検討

「緒言」脳幹部海綿状血管腫は出血率が高く3)13)26), 小さな出血であっても重要な神経核や神経路が集中しているという解剖学的特殊性により出血後の神経学的予後は不良である4)15). 近年, 頭蓋底手術手技の発達や手術モダリティの進歩に伴い積極的な摘出とその安全性の向上が多く報告されるようになった2)5)8)13)15)17)25)26). かつては治療困難とされていた領域であるが, 今日では外科的摘出の適応が拡大しつつある5)10)14)21). 今回われわれは脳幹部海綿状血管腫の中でも中脳に発生した海綿状血管腫3例の治療経験から, その手術適応, 手術アプローチ, 手術モニタリングの重要...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 40; no. 3; pp. 149 - 153
Main Authors 阿久津, 博義, 高野, 晋吾, 津田, 恭治, 今井, 資, 松村, 明, 松原, 鉄平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2012
日本脳卒中の外科学会
Subjects
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.40.149

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Summary:「緒言」脳幹部海綿状血管腫は出血率が高く3)13)26), 小さな出血であっても重要な神経核や神経路が集中しているという解剖学的特殊性により出血後の神経学的予後は不良である4)15). 近年, 頭蓋底手術手技の発達や手術モダリティの進歩に伴い積極的な摘出とその安全性の向上が多く報告されるようになった2)5)8)13)15)17)25)26). かつては治療困難とされていた領域であるが, 今日では外科的摘出の適応が拡大しつつある5)10)14)21). 今回われわれは脳幹部海綿状血管腫の中でも中脳に発生した海綿状血管腫3例の治療経験から, その手術適応, 手術アプローチ, 手術モニタリングの重要性, 定位放射線治療につき考察を行ったので報告する. 「症例」〈症例1〉52歳時に複視を主訴に近医受診し中脳腫瘍と診断されている. 治療困難と考えられ経過観察されていた. 53歳時に水頭症が出現し同院で脳室腹腔シャント造設術が施行された.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.40.149