骨盤骨原発骨肉腫に対し陽子線治療前に腹腔鏡下スペーサー留置術を行った1例

骨盤骨原発骨肉腫に対して照射前にスペーサー留置術を行うことで放射線性腸炎を予防できた1症例を経験した.症例は7歳の女児で,右腸骨を原発とする骨肉腫と診断され,化学療法が行われていたが,陽子線治療を併用した治療目的に当院紹介となった.腫瘍は腸管に近接しており,放射線性腸炎を回避するため,腹腔鏡下スペーサー留置術を行う方針となった.スペーサーとしてティッシューエキスパンダーとGore-Tex® sheetを組み合わせることで,固定が難しい部位にスペーサーを固定し,腸管と照射野の間に距離を置くことができた.腹腔鏡下スペーサー留置術は化学療法や陽子線治療の計画を遅延させることなく施行され,放射線性腸炎...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 57; no. 4; pp. 730 - 734
Main Authors 坂元, 直哉, 藤井, 俊輔, 高安, 肇, 五藤, 周, 産本, 陽平, 瓜田, 泰久, 増本, 幸二, 新開, 統子, 青山, 統寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.06.2021
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.57.4_730

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Summary:骨盤骨原発骨肉腫に対して照射前にスペーサー留置術を行うことで放射線性腸炎を予防できた1症例を経験した.症例は7歳の女児で,右腸骨を原発とする骨肉腫と診断され,化学療法が行われていたが,陽子線治療を併用した治療目的に当院紹介となった.腫瘍は腸管に近接しており,放射線性腸炎を回避するため,腹腔鏡下スペーサー留置術を行う方針となった.スペーサーとしてティッシューエキスパンダーとGore-Tex® sheetを組み合わせることで,固定が難しい部位にスペーサーを固定し,腸管と照射野の間に距離を置くことができた.腹腔鏡下スペーサー留置術は化学療法や陽子線治療の計画を遅延させることなく施行され,放射線性腸炎を発生させることなく陽子線治療を安全に施行することが可能であった.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.57.4_730