ヒト生体試料を利用した医学研究への実践的対応

稀少かつ難治な7つの皮膚疾患(天疱瘡,表皮水疱症,先天性魚鱗癬様紅皮症[非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症],膿疱性乾癬,神経線維腫症(Ⅰ・Ⅱ),色素性乾皮症,結節性硬化症の7疾患の生体試料(血液由来の遺伝子,血清および皮膚組織)の収集を厚生労働科学研究費補助金事業の一環として2009年度に着手した.その永続的な管理運営体制の構築に向けて,乗り越えなければならない問題点を探索した.その結果,(1)生体試料は一体誰のものか,(2)研究成果物の知的財産権の帰属先はどこか,ということが問題点として浮上してきた.それに対して,現行のインフォームド・コンセント法理をもってしても不十分であり,社会への利益還元の...

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Published in山口医学 Vol. 62; no. 4; pp. 199 - 204
Main Author 武藤, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 01.11.2013
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.62.199

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Summary:稀少かつ難治な7つの皮膚疾患(天疱瘡,表皮水疱症,先天性魚鱗癬様紅皮症[非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症],膿疱性乾癬,神経線維腫症(Ⅰ・Ⅱ),色素性乾皮症,結節性硬化症の7疾患の生体試料(血液由来の遺伝子,血清および皮膚組織)の収集を厚生労働科学研究費補助金事業の一環として2009年度に着手した.その永続的な管理運営体制の構築に向けて,乗り越えなければならない問題点を探索した.その結果,(1)生体試料は一体誰のものか,(2)研究成果物の知的財産権の帰属先はどこか,ということが問題点として浮上してきた.それに対して,現行のインフォームド・コンセント法理をもってしても不十分であり,社会への利益還元の方策を解決すること,そして配分的正義に基づく研究者間での利益分配の思想の導入の必要性を主張した.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.62.199