畜産領域におけるプロバイオティクスの現状と問題点
集約的な畜産において標準技術として発達してきた飼料添加抗菌剤の使用に政策的な制限が加えられるようになってきた.そのため,飼料添加用動物用薬剤の代替として様々な方法が模索されており,農場の徹底した清浄化や生菌剤の利用が注目されるようになってきた.代替技術としての生菌剤の給与は,家畜の健康維持や増体改善に効果を発揮して農場全体の成績や経営状態を向上させることが求められる.従って,生菌剤の開発にあたっては,生菌剤の効果とメカニズムに加えて,費用対効果を明らかにすることが重要であり,そのためには,生産物や飼料原料の価格動向,環境への影響など,畜種ごとに細かく内容が異なる項目に対して配慮が必要となる.生...
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Published in | 腸内細菌学雑誌 Vol. 28; no. 4; pp. 147 - 154 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 腸内細菌学会
2014
日本ビフィズス菌センター |
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ISSN | 1343-0882 1349-8363 |
DOI | 10.11209/jim.28.147 |
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Summary: | 集約的な畜産において標準技術として発達してきた飼料添加抗菌剤の使用に政策的な制限が加えられるようになってきた.そのため,飼料添加用動物用薬剤の代替として様々な方法が模索されており,農場の徹底した清浄化や生菌剤の利用が注目されるようになってきた.代替技術としての生菌剤の給与は,家畜の健康維持や増体改善に効果を発揮して農場全体の成績や経営状態を向上させることが求められる.従って,生菌剤の開発にあたっては,生菌剤の効果とメカニズムに加えて,費用対効果を明らかにすることが重要であり,そのためには,生産物や飼料原料の価格動向,環境への影響など,畜種ごとに細かく内容が異なる項目に対して配慮が必要となる.生菌剤に対しては,経費節減への貢献だけでなく,例えば生産物の品質の向上など付加価値への貢献を求める声もある.畜産の現場での生菌剤は,実験的に効果のエビデンスを取得できたとしても,上述の項目が考慮された商品でなければ普及は難しい.また,進化系統的に大きく異なった家畜種に,実験動物で解明されたメカニズムをそのまま適用することは困難である.機能性を担保するメカニズムに関しては,それぞれの動物種についてのさらなる検討が必要であり,機能的に裏づけのある商品開発が求められている. |
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ISSN: | 1343-0882 1349-8363 |
DOI: | 10.11209/jim.28.147 |