飼料原料および配合飼料におけるサルモネラ汚染とその制御

「はじめに」飼料原料および配合飼料(以下, 飼料)のサルモネラ汚染は1948年にアメリカで初めて報告されて以来, 約70年経った現在においても, 国内外で汚染事例が散発的に報告されており, 完全には制御されていない. 飼料のサルモネラ汚染の制御が難しい理由は, 飼料の多くが水分活性の低い粉体または粒体であり, 加熱および薬液による殺菌処理が容易でないことにある. また, 飼料業界の製造ロットサイズはトン単位であり, 製造, 保管, 搬送および出荷設備は大規模かつ広範囲に及ぶため, 汚染源を特定しにくいことも一因となっている. 一方, 飼料はフードチェーンの最も上流に位置しており, 飼料のサルモ...

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Published in日本食品微生物学会雑誌 Vol. 37; no. 2; pp. 49 - 60
Main Authors 千原, 哲夫, 盛田, 隆行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本食品微生物学会 30.06.2020
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ISSN1340-8267
1882-5982
DOI10.5803/jsfm.37.49

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Summary:「はじめに」飼料原料および配合飼料(以下, 飼料)のサルモネラ汚染は1948年にアメリカで初めて報告されて以来, 約70年経った現在においても, 国内外で汚染事例が散発的に報告されており, 完全には制御されていない. 飼料のサルモネラ汚染の制御が難しい理由は, 飼料の多くが水分活性の低い粉体または粒体であり, 加熱および薬液による殺菌処理が容易でないことにある. また, 飼料業界の製造ロットサイズはトン単位であり, 製造, 保管, 搬送および出荷設備は大規模かつ広範囲に及ぶため, 汚染源を特定しにくいことも一因となっている. 一方, 飼料はフードチェーンの最も上流に位置しており, 飼料のサルモネラ汚染を制御することは, 畜産物および畜産加工品の品質を高め, 結果的にヒトにおける食中毒のリスクを下げることになる. 飼料のサルモネラ汚染については, 海外では, Maciorowskiらが2004年および2006年, Jonesが2011年に, また国内では佐藤が1990年および2003年に総説を発表し, 過去からの状況を詳説している.
ISSN:1340-8267
1882-5982
DOI:10.5803/jsfm.37.49