小児胸壁原発軟部肉腫の根治的切除術での切除縁と臨床経過の検討
【目的】当科で経験した小児胸壁原発軟部肉腫の根治的切除術での切除縁と臨床経過との関連について検討した.【方法】1994年から2015年までに当科で経験した胸壁原発軟部肉腫7例を対象とし,導入化学療法後あるいは導入化学療法と放射線治療後に行った,根治的切除術(以下,根治術)の切除縁と手術後の治療成績について後方視的に検討を行った.【結果】遠隔転移がなかった6例のうち,根治術で広範切除を行い放射線治療は行わなかった,腫瘍反応層から切除縁2 cmのundifferentiated round cell sarcomaと1 cmのprimitive neuroectodermal tumor(PNET...
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          | Published in | 日本小児外科学会雑誌 Vol. 55; no. 1; pp. 47 - 52 | 
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| Main Authors | , , , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            特定非営利活動法人 日本小児外科学会
    
        20.02.2019
     日本小児外科学会  | 
| Subjects | |
| Online Access | Get full text | 
| ISSN | 0288-609X 2187-4247  | 
| DOI | 10.11164/jjsps.55.1_47 | 
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| Summary: | 【目的】当科で経験した小児胸壁原発軟部肉腫の根治的切除術での切除縁と臨床経過との関連について検討した.【方法】1994年から2015年までに当科で経験した胸壁原発軟部肉腫7例を対象とし,導入化学療法後あるいは導入化学療法と放射線治療後に行った,根治的切除術(以下,根治術)の切除縁と手術後の治療成績について後方視的に検討を行った.【結果】遠隔転移がなかった6例のうち,根治術で広範切除を行い放射線治療は行わなかった,腫瘍反応層から切除縁2 cmのundifferentiated round cell sarcomaと1 cmのprimitive neuroectodermal tumor(PNET)の2例は再発を認めなかったが,切除縁1 cmの滑膜肉腫は局所再発を認めた.辺縁切除と放射線治療を組み合わせた3例(PNET 2例,横紋筋肉腫1例)はいずれも再発は認めなかった.また,胸壁再建術が行われた3例に重篤な合併症は認めなかった.7例全体の5年over all survivalは85.7%で,event free survivalは71.4%だった.死亡症例は初診時に遠隔転移を認めたPNETの1例のみだった.【結論】遠隔転移がない小児胸壁原発軟部肉腫の根治術で,二次がんなどの晩期障害の懸念がある放射線治療の併用を省略することができる切除縁としては腫瘍反応層から2 cmが一つの目安になる可能性が示唆された.なお胸壁再建術の安全性は高く,広範切除の可能性を広げる有効な手段であると考えられた. | 
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| ISSN: | 0288-609X 2187-4247  | 
| DOI: | 10.11164/jjsps.55.1_47 |