急性呼吸障害を来した単純ヘルペス脳炎において脳幹病変が病理学的に確認できた89歳男性の1例

症例は89歳男性.38°C台の発熱が持続し意識障害が出現したため入院となった.血液検査で低Na血症を認め,頭部MRIの拡散強調画像で両側帯状回皮質に高信号を認めたが,脳脊髄液中の細胞数上昇を認めなかった.血液検査で抗単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)IgM抗体陽性が判明したのちに,アシクロビルを投与したものの呼吸状態が急速に悪化し第8病日に死亡した.剖検では急性壊死性脳炎を認め,炎症は橋被蓋や延髄にも及んでいた.単純ヘルペス脳炎(herpes simplex encephalitis)における急性呼吸障害の原因として脳幹病変を病理学的に確認することができた貴重な症...

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Published in臨床神経学 Vol. 60; no. 12; pp. 840 - 845
Main Authors 林, 友豊, 安藤, 紘花, 荒木, 克哉, 藤村, 晴俊, 井上, 貴美子, 巽, 千賀夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2020
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-001438

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Summary:症例は89歳男性.38°C台の発熱が持続し意識障害が出現したため入院となった.血液検査で低Na血症を認め,頭部MRIの拡散強調画像で両側帯状回皮質に高信号を認めたが,脳脊髄液中の細胞数上昇を認めなかった.血液検査で抗単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)IgM抗体陽性が判明したのちに,アシクロビルを投与したものの呼吸状態が急速に悪化し第8病日に死亡した.剖検では急性壊死性脳炎を認め,炎症は橋被蓋や延髄にも及んでいた.単純ヘルペス脳炎(herpes simplex encephalitis)における急性呼吸障害の原因として脳幹病変を病理学的に確認することができた貴重な症例であった.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-001438