脳炎様症状で発症した遺伝性ATTRアミロイドーシスの54歳女性例

症例は54歳女性.発熱,意識障害を呈し,自己免疫性脳炎としてステロイド治療を施行し,熱型,意識障害の改善,脳脊髄髄液IL6低下を認めたが,高次脳機能障害が遷延した.造影MRIで広範な髄膜増強効果を認めた点から髄膜アミロイドーシス(leptomeningeal amyloidosis,以下LAと略記)を鑑別に挙げ,トランスサイレチン遺伝子検査を施行しY69H(p.Y89H)変異を認めたため,LAと診断した.本例ではステロイド治療に対する脳炎様症状の改善,脳脊髄液IL-6値の低下が認められたことから,脳炎様症状を呈するLAではアミロイド沈着に対する炎症の病態が時間単位~日単位の長時間の症状の持続に...

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Published in臨床神経学 Vol. 65; no. 7; pp. 516 - 521
Main Authors 若木 邦彦, 滑川 将気, 新保 淳輔, 牧野 邦比古, 岸 諒太, 鈴木 奈穂美, 福島 隆男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2025
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.cn-002066

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Summary:症例は54歳女性.発熱,意識障害を呈し,自己免疫性脳炎としてステロイド治療を施行し,熱型,意識障害の改善,脳脊髄髄液IL6低下を認めたが,高次脳機能障害が遷延した.造影MRIで広範な髄膜増強効果を認めた点から髄膜アミロイドーシス(leptomeningeal amyloidosis,以下LAと略記)を鑑別に挙げ,トランスサイレチン遺伝子検査を施行しY69H(p.Y89H)変異を認めたため,LAと診断した.本例ではステロイド治療に対する脳炎様症状の改善,脳脊髄液IL-6値の低下が認められたことから,脳炎様症状を呈するLAではアミロイド沈着に対する炎症の病態が時間単位~日単位の長時間の症状の持続につながった可能性が考えられた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.cn-002066