可逆的な脳血管狭窄を経時的に観察し得た肺炎球菌性髄膜炎の1例

症例は72歳男性.肺炎球菌性髄膜炎の診断で抗菌薬と副腎皮質ステロイドによる治療を開始されたが,第6病日に意識障害が増悪した.第7病日の頭部MRIで両側小脳半球に梗塞巣を認め,MRAでは脳動脈狭窄が多発していた.細菌性髄膜炎に合併した血管炎を第一に考え,抗菌薬の増量と副腎皮質ステロイドパルス療法を行ったが,第12病日の造影CTでは血管狭窄が進行し,梗塞巣も拡大していた.第25病日の頭部MRAでは脳動脈狭窄は改善に転じ,第39病日には概ね正常化していた.短期間に大きな可逆性変化を示した動脈病変の経過から,本症例の病態として血管攣縮の存在が示唆された....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 60; no. 7; pp. 495 - 499
Main Authors 金沢, 信, 木附, 信二, 福田, 賢治, 福嶌, 由尚, 松下, 知永, 松木, 孝之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.60.cn-001429

Cover

More Information
Summary:症例は72歳男性.肺炎球菌性髄膜炎の診断で抗菌薬と副腎皮質ステロイドによる治療を開始されたが,第6病日に意識障害が増悪した.第7病日の頭部MRIで両側小脳半球に梗塞巣を認め,MRAでは脳動脈狭窄が多発していた.細菌性髄膜炎に合併した血管炎を第一に考え,抗菌薬の増量と副腎皮質ステロイドパルス療法を行ったが,第12病日の造影CTでは血管狭窄が進行し,梗塞巣も拡大していた.第25病日の頭部MRAでは脳動脈狭窄は改善に転じ,第39病日には概ね正常化していた.短期間に大きな可逆性変化を示した動脈病変の経過から,本症例の病態として血管攣縮の存在が示唆された.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.60.cn-001429