30.気管支結石により肺膿瘍をきたした1例(第19回 日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

症例は67歳, 女性. 2010年6月中旬, 咳嗽と炎症反応の高値のため近医より紹介され当科受診. 胸部CTで左S 9領域に56mm大の腫瘤影を認め, 縦隔条件では内部が低吸収であった. 腫瘤影の中枢側気管支(B 9b)に石灰化病変, 縦隔リンパ節, 胸膜直下に石灰化を認めた. 画像所見と糖尿病, 多数の齲歯, アルコール多飲歴などから肺膿瘍と考え抗生剤(TAZ/PIPC)で加療を行った. 解熱し炎症反応の改善を認めたものの, 画像では縮小が乏しかった. 胸部CT所見から石灰化病変を気管支結石と疑った. 肺膿瘍の原因と考え, 肺膿瘍の再燃を危惧し気管支内腔観察目的に7月中旬気管支鏡検査を施行し...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 3; p. 201
Main Authors 沖本, 民生, 鈴木, 妙子, 神田, 響, 津端, 由佳里, 礒部, 威, 久良木, 隆繁, 狩野, 芙美, 濱口, 俊一, 三浦, 聖高, 岩本, 信一, 須谷, 顕尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2011
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.33.3_201_3

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Summary:症例は67歳, 女性. 2010年6月中旬, 咳嗽と炎症反応の高値のため近医より紹介され当科受診. 胸部CTで左S 9領域に56mm大の腫瘤影を認め, 縦隔条件では内部が低吸収であった. 腫瘤影の中枢側気管支(B 9b)に石灰化病変, 縦隔リンパ節, 胸膜直下に石灰化を認めた. 画像所見と糖尿病, 多数の齲歯, アルコール多飲歴などから肺膿瘍と考え抗生剤(TAZ/PIPC)で加療を行った. 解熱し炎症反応の改善を認めたものの, 画像では縮小が乏しかった. 胸部CT所見から石灰化病変を気管支結石と疑った. 肺膿瘍の原因と考え, 肺膿瘍の再燃を危惧し気管支内腔観察目的に7月中旬気管支鏡検査を施行した. 内腔に突出する黄色で硬い石灰化病変を認めた. 病変の除去を試みたが, 苦痛が強かったことと, 病変の把持が困難であったことから除去を一旦断念し, 再度鎮静下で除去を試みることとした. 2度目はペチジン, ミダゾラムで鎮静を行った. 鉗子で病変を動かし, 末梢でバルンを拡張させ出血に注意しながら引き抜き, 病変の除去を行った. 一部結石を除去することで末梢から白色膿性痰の噴出を認めたため, 気管支が開通したと考え治療を終了した. 出血などの合併症はなかった. 経過観察の胸部CTでは陰影の縮小を認めた. 摘出した石灰化病変は病理学的にも気管支結石と診断された. 今回われわれは, 比較的まれな気管支結石の1例を経験した. 鎮静を行うことで苦痛を緩和でき, 硬性鏡を使用することなく安全に結石の除去が可能であった. 気管支結石を部分的にでも除去することで気管支の開通を認め, 陰影の改善も認めたので, 文献的考察を加え報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.33.3_201_3