9.血痰精査目的で施行した気管支内視鏡症例の検討(第34回 日本呼吸器内視鏡学会九州支部会)
【背景】 血痰は呼吸器症状のなかでも特に患者不安が強い訴えのひとつである. 咳や痰は我慢しても血痰があると慌てて病院を受診することも多い. 【方法】 2008年12月中旬から2011年3月までに当院で施行した気管支鏡検査270例のうち血痰精査目的で施行した例を検討した. 【結果】 16例(6%)が血痰精査目的で施行されていた. 年齢中央値67(48~84)歳, 性別は男/女=12/4例. このうち新鮮血液(喀血)は3例(19%), 残り13例(81%)は痰に薄い血液が混じる程度(血痰)だった. 実際に気管支鏡検査で出血が確認されたのは4例(25%)のみであった. 同一症例に繰り返し気管支鏡検査...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 33; no. 5; pp. 394 - 395 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
2011
日本呼吸器内視鏡学会 The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.33.5_394_5 |
Cover
Summary: | 【背景】 血痰は呼吸器症状のなかでも特に患者不安が強い訴えのひとつである. 咳や痰は我慢しても血痰があると慌てて病院を受診することも多い. 【方法】 2008年12月中旬から2011年3月までに当院で施行した気管支鏡検査270例のうち血痰精査目的で施行した例を検討した. 【結果】 16例(6%)が血痰精査目的で施行されていた. 年齢中央値67(48~84)歳, 性別は男/女=12/4例. このうち新鮮血液(喀血)は3例(19%), 残り13例(81%)は痰に薄い血液が混じる程度(血痰)だった. 実際に気管支鏡検査で出血が確認されたのは4例(25%)のみであった. 同一症例に繰り返し気管支鏡検査が施行されたのは1例のみであり, 1ヵ月後に2回目を施行されていた. 原因疾患は不明5例(31%), 肺癌4例(25%, 扁平上皮癌3, 腺癌1), 特発性肺出血2例(13%), 気管支拡張症2例(13%), 陳旧性肺結核, 肺炎, 歯肉出血塵肺が各1例(6%)だった. 10例(63%)は止血剤を内服し, 6例(38%)は無治療で経過観察した. いずれもその後, 血痰はコントロールされている. 【結語】 血痰精査を目的に気管支鏡検査を行っても異常のない場合が多いが, 肺癌, 特に扁平上皮癌の初期症状であることがあり注意が必要である. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.33.5_394_5 |