22.局麻下胸腔鏡にて診断した肝細胞癌による胸膜播種の1例(第31回日本呼吸器内視鏡学会九州支部総会)

症例は59歳の男性. 主訴は息切れ. 2006年12月に非B非C型肝硬変に合併した肝細胞癌を指摘され, 当院消化器外科へ紹介となり, 肝右葉切除術を施行された. 術中所見にて右横隔膜への浸潤を認めたため, 右横隔膜を1部合併切除した. その後外来にて経過観察されていたが, 明らかな局所再発の所見は認めなかった. 2007年8月から右胸水の貯留が出現した. 胸水は血性の滲出性胸水であり, 胸水穿刺細胞診にて悪性所見は認めなかった. 胸部CTにて肺野には病変を認めなかったが, 胸膜面に複数の結節を認めた. AFP 44.6ng/ml, PIVIKA-II 0300mAU/mlと腫瘍マーカーの増加も...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 30; no. 6; pp. 416 - 417
Main Authors 腰塚, 広昌, 林, 明宏, 中坪, 成太, 三角, 幸広, 日高, 大, 肥山, 淳一郎, 入江, 康司, 藤井, 亜希子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2008
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.30.6_416_5

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Summary:症例は59歳の男性. 主訴は息切れ. 2006年12月に非B非C型肝硬変に合併した肝細胞癌を指摘され, 当院消化器外科へ紹介となり, 肝右葉切除術を施行された. 術中所見にて右横隔膜への浸潤を認めたため, 右横隔膜を1部合併切除した. その後外来にて経過観察されていたが, 明らかな局所再発の所見は認めなかった. 2007年8月から右胸水の貯留が出現した. 胸水は血性の滲出性胸水であり, 胸水穿刺細胞診にて悪性所見は認めなかった. 胸部CTにて肺野には病変を認めなかったが, 胸膜面に複数の結節を認めた. AFP 44.6ng/ml, PIVIKA-II 0300mAU/mlと腫瘍マーカーの増加も認め, 肝細胞癌の転移による癌性胸膜炎がもっとも考えられた. そのため, 精査加療目的にて当科紹介となった. 確定診断目的にて局麻下胸腔鏡検査を行ったところ, 壁側胸膜に大小さまざまな赤色の腫瘤が多発していた. 生検を施行したところ, 非常に軟らかく易出血性であった. 組織所見は肝細胞癌であり, 肝細胞癌の胸膜播種と診断した. 本症例は局麻下胸腔鏡にて診断した肝細胞癌の胸膜播種という比較的稀な症例であるため, 文献的考察を加えて発表する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.30.6_416_5