1.慢性有瘻性膿胸による血痰/喀血に対してEWSを用いた内視鏡的気管支充填術が有用であった1例(第17回日本呼吸器内視鏡学会中国四国支部会)

症例は, 70歳代, 男性. 主訴は, 血痰/喀血, 呼吸困難. 3年前より左肺化膿症と診断され, 近医にて経過観察されていたが, 1年前より通院が途絶えていた. 入院1ヵ月前からの繰り返す血痰/喀血にて近医受診した. その気道出血のためにMAP血輸注を繰り返す必要があった. このため, 当科紹介あり, 精査加療目的に入院となった. 来院時, 胸部単純写真および胸部CT検査では, 左胸部に液体の貯留を認め, 周囲は石灰化を認める被膜に覆われていた. 左肺外で胸腔内と考えられた. 喀痰は血性, 膿性の痰であった. 喀痰培養および胸腔穿刺排液培養での検出菌は一致した. 気管支鏡検査では気管支内に血...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 31; no. 3; p. 169
Main Authors 山地, 康文, 南木, 伸基, 氏家, はる代, 堀元, 直哉, 小西, 順, 中村, 哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 2009
日本呼吸器内視鏡学会
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.31.3_169_2

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Summary:症例は, 70歳代, 男性. 主訴は, 血痰/喀血, 呼吸困難. 3年前より左肺化膿症と診断され, 近医にて経過観察されていたが, 1年前より通院が途絶えていた. 入院1ヵ月前からの繰り返す血痰/喀血にて近医受診した. その気道出血のためにMAP血輸注を繰り返す必要があった. このため, 当科紹介あり, 精査加療目的に入院となった. 来院時, 胸部単純写真および胸部CT検査では, 左胸部に液体の貯留を認め, 周囲は石灰化を認める被膜に覆われていた. 左肺外で胸腔内と考えられた. 喀痰は血性, 膿性の痰であった. 喀痰培養および胸腔穿刺排液培養での検出菌は一致した. 気管支鏡検査では気管支内に血性, 膿性痰を認め, 左下葉から喀出されていることが確認できた. 以上のことなどから, 有瘻性膿胸と診断した. 左下葉支を中心にEWSを用いた内視鏡的気管支充填術を繰り返し行った. 膿性痰の喀出を完全に止めることは困難であったが, 繰り返しEWSを用いた内視鏡的気管支充填術を行うことで, 喀痰の喀出は減少し, 呼吸困難の軽減が得られた. また, 気道出血が減少し, MAP血輸注の必要がなくなった. EWSを用いた内視鏡的気管支充填術は, 統発性難治性気胸に対して行われることが多いが, 本例のような症例にも有用であると考えられた. 若干の文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.31.3_169_2