基調講演: 未病と臨床検査の果たす役割

1. はじめに 薬漬け, 検査漬けの医療が日本の医療をだめにする」といわれて久しい. このことは, 検査はなるべく受けない方がよいということになるのであろうか. こうなれば検査の意義は何なのであろうか. 確かに日本の医療費は大きくなってきている. 少子高齢化が追い討ちとなり医療費が高騰し, 医療保険制度がもたなくなってきているといわれているのは確かである. その額約30兆円. この保険制度の枠組み中に医療があり, 検査が存在する. この枠組みが崩壊するかもしれない中で医学は進歩し, ヒトゲノムの解明から再生医学も臨床の場に登場する時代となった. 今後, 検査に求められるものは何なのか. ここで...

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Published inThe Journal of Japan Mibyou System Association Vol. 10; no. 2; pp. 284 - 285
Main Author 福生, 吉裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本未病システム学会 2004
Japan Mibyou System Association
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ISSN1347-5541
2185-2162
DOI10.11288/mibyou1998.10.284

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Summary:1. はじめに 薬漬け, 検査漬けの医療が日本の医療をだめにする」といわれて久しい. このことは, 検査はなるべく受けない方がよいということになるのであろうか. こうなれば検査の意義は何なのであろうか. 確かに日本の医療費は大きくなってきている. 少子高齢化が追い討ちとなり医療費が高騰し, 医療保険制度がもたなくなってきているといわれているのは確かである. その額約30兆円. この保険制度の枠組み中に医療があり, 検査が存在する. この枠組みが崩壊するかもしれない中で医学は進歩し, ヒトゲノムの解明から再生医学も臨床の場に登場する時代となった. 今後, 検査に求められるものは何なのか. ここでこれからの検査の光と影について考えてみたい. 2. 二元論の世界では行き詰まってくる 3世紀. ガレノス以来, 〈健康か病気か〉という二元論の世界で西洋医学は確立してきた. 治療者は身体を構成する4つの成分をチェックすれば事足りた時代であった. 検査は色と量である. 患者が申告することでまず病気の世界ができあがり, 治療者はその中で誠心誠意悪戦苦闘し, 病魔と闘い, そして生計を立て, 患者に勝利をもたらすべくあらゆる技を用いてきた.
ISSN:1347-5541
2185-2162
DOI:10.11288/mibyou1998.10.284