過去の経験の想起数と青年期後期の自我同一性の感覚の関連

「問題と目的」 Eriksonは, "各個人が青年期の終りに, 成人としての役割を身につける準備を整えるために, 成人になる以前のすべての経験から獲得していなければならない一定の総括的な成果"(Erikson, 1959 小此木訳 1973, p.131)を意味するものとして「自我同一性の感覚」を唱えた. そして, それまでの様々な経験から作り上げてきた種々の同一化をまとめ, 統合し, 自我同一性を形成し始めるのが青年期であるとしている(Erikson, 1959 小此木訳 1973). したがって, 青年期までに多くの経験を積んだという認識, つまり自己について考える&q...

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Bibliographic Details
Published inパーソナリティ研究 Vol. 24; no. 2; pp. 159 - 162
Main Author 小島, 淳広
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 2015
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ISSN1348-8406
1349-6174
DOI10.2132/personality.24.159

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Summary:「問題と目的」 Eriksonは, "各個人が青年期の終りに, 成人としての役割を身につける準備を整えるために, 成人になる以前のすべての経験から獲得していなければならない一定の総括的な成果"(Erikson, 1959 小此木訳 1973, p.131)を意味するものとして「自我同一性の感覚」を唱えた. そして, それまでの様々な経験から作り上げてきた種々の同一化をまとめ, 統合し, 自我同一性を形成し始めるのが青年期であるとしている(Erikson, 1959 小此木訳 1973). したがって, 青年期までに多くの経験を積んだという認識, つまり自己について考える"材料"となる過去の経験を想起することは, 自我同一性の感覚と関連すると考えられる. 過去の経験の想起と自我同一性との関連について, 自伝的記憶と自我同一性には関連があることが指摘されており(佐藤, 1998), たとえば実際に記憶の統合化の程度との関連が示されている(植之原, 1993).
ISSN:1348-8406
1349-6174
DOI:10.2132/personality.24.159