思春期特発性側弯症の長期の自然経過:文献的レビュー

背景:思春期特発性側弯症(AIS)の自然経過は未治療でも,のちの健康障害は少ないと結論付けられているが,長期追跡調査を行ったデータは少なく,その解釈も研究者間にばらつきもある.目的:AISの長期自然経過の文献的レビューを行い骨成熟後に治療介入すべき症例を再評価し,これまでの研究の問題点を抽出すること.方法:PubMedを用いて文献検索を行い,175文献の内容を確認し最終的に34文献を採用した.結果:カーブ進行は胸椎カーブで進行しやすく,特に50~75°のCobb角で年間1°以下の進行がある.肺機能はCobb角と関連あり80°以上で日常生活の息切れ,110°以上で呼吸機能不全になりえる.腰痛はC...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 12; no. 11; pp. 1278 - 1286
Main Authors 友近, 顕, 赤澤, 努, 飯沼, 雅央, 上野, 純, 浅野, 孝太, 石森, 光一, 梅原, 亮, 仁木, 久照, 吉田, 篤弘, 鳥居, 良昭, 黒屋, 進吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.11.2021
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ISSN1884-7137
2435-1563
DOI10.34371/jspineres.2021-1102

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Summary:背景:思春期特発性側弯症(AIS)の自然経過は未治療でも,のちの健康障害は少ないと結論付けられているが,長期追跡調査を行ったデータは少なく,その解釈も研究者間にばらつきもある.目的:AISの長期自然経過の文献的レビューを行い骨成熟後に治療介入すべき症例を再評価し,これまでの研究の問題点を抽出すること.方法:PubMedを用いて文献検索を行い,175文献の内容を確認し最終的に34文献を採用した.結果:カーブ進行は胸椎カーブで進行しやすく,特に50~75°のCobb角で年間1°以下の進行がある.肺機能はCobb角と関連あり80°以上で日常生活の息切れ,110°以上で呼吸機能不全になりえる.腰痛はCobb角と関連はなく,頻度や重症度は健常群より高い傾向にあった.死亡率や精神疾患の有病率,社会的機能は健常者と比較しても劣っていなかった.過去の研究の問題点は,病因の解明がされていないこと,長期の自然経過に関するデータが少ないこと,Onsetの不確実性がある.結語:手術介入はCobb角が50度を超える胸椎カーブに考慮すべきでありそれ以外では多面的に考慮すべきである.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2021-1102